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世界でただ一つのウェアラブルスイッチ ニューロノード INTERVIEW

 脳からの微細なサインをキャッチするニューロノード。コミュニケーション補装具としても期待!

 

病気や障がいにより、コミュニケーションが難しくなった方のサポート機器として注目されるニューロノード。開発したControl Bionics日本支社ディレクターとしてニューロノードの普及に努めている清原さんにお話を伺いました。

左から、インタビューに応えていただいた清原さん、 Control Bionics日本支社代表の北山さん、CEO ジェレミー・スティール 、ニューロノードユーザーの畠山亮夏さん、お母様の織恵さん

 

ニューロノードはどんなことに使う福祉機器ですか?

佐藤:Control Bionics社が独自に開発した福祉機器、ニューロノードは微細な動きや筋電をキャッチすることができるとのことですが、どのような状態の方が使うために開発され、どんな特徴があるのでしょう?

 

清原さん:ニューロノードは、病気や事故などで体を動かすことや話すこともできなくなってしまった方の意思を伝えるサポート機器として開発されました。筋肉内で発生する微弱な電流である筋電位を計測し、その推移から筋電図(EMG)を生成して装着した方の小さなシグナルを精緻に捉えることができるんです。ほんのわずかな動きや脳から送られる筋電をキャッチするので、コミュニケーションをとるのが困難な方、病気の進行など先々の状態に不安を感じている方がご利用いただくことで、生活の質を上げることができると思います。

 

佐藤:発話が困難になり、視線入力装置を使ってコミュニケーションをとっている方もいますが、そういう方にも必要なのでしょうか?

 

清原さん:視線入力はとても目が疲れるので、長時間続けるのは難しいですよね。それに、姿勢と頭の位置を固定していないと視線が定まらないので、座位を保っていなければなりません。負担がいっぱいです。そんな負担軽減のために、視線入力にニューロノードをスイッチとして使っている方がいます。文字を選ぶのは視線で、決定はスイッチ、という感じでね。

 

佐藤:手が動かなくてスイッチが使えない方にも使えますか?

 

清原さん:ニューロノードは顔の表情筋もキャッチできるし、体のいろいろな部分に装着することができるので、より反応を得ることができる部位を探して装着できます。だから、手で操作をしなければならないということはないんです。

 

佐藤:機能だけでなく使いやすさにも配慮して開発されたんですね。
気になるのは、それだけ性能がいいと、かえって誤反応とか、反応し過ぎるなんてことがあるのではないかと…。

 

清原さん:はい、それは調整することで支障なく使えます。一人ひとりの状態にあわせて利用される方、介助される方と一緒に調整を行っています。
ニューロノードは、EMG(筋電図)、EOG(眼電図)、空間モード(空間座標計測)の3種類の操作ができるので、使う方に合わせて選び、設定していきます。特別な知識は必要ありません。とても簡単にできる設定です。

 

使い方は簡単!ニューロノードでできる事が増えていく!

佐藤:実際に、ニューロノードはどのように使うのでしょう?使う人が準備しなくてはならないものはありますか?

 

清原さん:ニューロノードは、iPadでご利用していただくことをおすすめしています。iPadに元々搭載されているアクセシビリティ(※)を使えば、さらにいろんなことができるようになります。Windowsでも使えないことはないのですが、パソコンの性能やソフトなどが皆さんそれぞれで、ニューロノードを入れた際、不具合が起きた時の対処が難しいという状況があるんです。そのため、アフターフォローができるiPadでのご利用をおすすめしています。

 

※アクセシビリティ…ユーザーの年齢、性別、身体的特徴、使用している機器の違いなどの影響をやわらげ誰でも同じような使い勝手にという意味。

https://www.apple.com/jp/accessibility/

 

佐藤:皆さんiPadで利用されているんですね。iPadはパソコンを購入するよりも安く済むし、持ち運びにも便利ではありますね。

 

清原さん:私がフォローさせていただいている方は皆さん、iPadです。導入する時にiPadの購入をお願いしますが、中古のiPadが2、3万円で買えるようなので、そうやってできるだけ費用をかけないで利用されている方が多いですね。

いっぺんにできないことをすべて補うのではなく、ここはこれで補って、足りないところは他の方法で補っていく。一度に補いたいことを全てできるようにするとすごくお金がかかりますよね。でも、体調や病気の進行などで変えなければならないことも出てくる。そう考えると、必要性を感じることをその都度、補える機器やアプリを使って対応していくという考えがあってもいいのかなと。

 

佐藤:今、テクノロジーの発展はすごく早くなっているし、どんどん進化していますから、そういった考えで福祉用具を利用すると、より自分にあったものをちょうどいいタイミングで利用することができますね。

 

清原さんは何人くらい利用されている方をサポートされているのですか?

 

清原さん:去年の9月にスタートしたばかりなので、サポートをしている方は20人くらいです。オンラインでほぼ毎日サポート対応しています。
基本的な設定ができたら、その後はiPadとニューロノードを使って何ができるか、何をしようかと、ご利用されている方と話し合いながらいろいろトライしています。

 

リハビリに取り入れると、早い段階での調整、
改善が可能!

 

清原さん:ニューロノードは筋電をキャッチして、その時のデータを記録することができるので、リハビリにも活用できるんですよ。このことを、リハビリに関わる方にはぜひ知ってもらいたいです!

 

佐藤:リハビリにも!どんなふうにリハビリに活用できるのですか?

清原さん:例えば、足の筋力を保つリハビリを行っている患者さんの場合、足にニューロノードを貼り付けて筋電の数値を記録していきます。そうすると、日々の数値を比べたり、月ごとにその記録を見比べながらリハビリの内容を変える等、筋力の変化により早く気付けて対応することができるようになります。

 

佐藤:なるほど!数値がわかると、自分でも気をつけようって意識することができますね。

 

清原さん:ST(言語聴覚士)さんは、ニューロノードを喉の部分に貼り付けて、嚥下の動きを知ることができる点がいいと言っていました。数値で分かると、感覚とはまた違った評価ツールになるそうです。

 

佐藤:嚥下機能が落ちてきているご高齢の方のサポートにも効果的ですね。


意思伝達パネルを搭載。
コミュニケーションのサポート機能がさらに充実!

佐藤:使ってみたいという方は、どのような手続きをすればいいのでしょう。条件などありますか?

 

清原さん:まずは、3万円で一か月レンタルしてお試ししてもらい、必要だと思えたら役所へ申請を出してもらっています。障害者総合支援法の「日常生活用具の給付又は貸与」の一つ「情報・意思疎通支援用具」(※1)として補助が出る自治体があります。補助額は、多くが10万円で、市町村によっては20~30万円のところもあります。

 

佐藤:本当に必要な人には、負担がかからないように補助が得られるといいのですが…。

 

清原さん:実は、ニューロノードは新たに意思伝達機能を付けることになったので、「補装具」の「意思伝達装置」(※2)としてもご利用いただけるようになります。 正式には10月にリリースする予定です。
「意思伝達装置」として利用したいという方が申請を出して認められると、48万円の補助が出るようになるので、ニューロノードの購入費をフルカバーできることになるんです!

 

佐藤:それは朗報ですね!希望すれば全額補助で使えるようになるのですね。

 

清原さん:条件があるんです、他のスイッチが全くダメで、ニューロノードしか使えないという状態の方以外は難しいと思います。
眼球の運動だけになってしまった方が使えるコミュニケーション機器は、本当に少ないんです。そのような方たちに、「意思伝達装置」(※2)としてニューロノードを使っていただきたいです。
※1「情報・意思疎通支援用具」:障害者(児)の情報収集、情報伝達や意思疎通等を支援する用具であって、利用者が容易に使用することができ、実用性があるもの。

※2「意思伝達装置」:病気などにより、コミュニケーションが困難な方のための補装具。

※1・※2の申請に関する条件、判定基準、支給額などについては、お住まいの市町村自治体にお問合せください

 

「ミューロノードで日々の楽しみを増やしてほしい」

清原さん:私が最初に担当させていただいたのは、ALS(筋委縮性側索硬化症)という難病患者さんです。ALSは体を動かす機能が徐々に衰えていく進行性の病。話すこと、呼吸することも難しくなっていく中で、ニューロノードを知って「万歳した!」と言ってくださり、とても喜んでくれました。
最近、「ニューロノードでどんなことを楽しんでいますか?」と聞いたら、お孫さんのために「Amazonで買い物してあげてるんだ~」とおっしゃっていましたね(笑)。
インターネットでスポーツ観戦するのも楽しみで、「暇じゃないんだよ~」って(笑)。

ご利用者様にこんなに喜んでいただける。それが何よりもうれしくて、ニューロノードをもっと広めたいと思っているんです。

 

 

佐藤:「万歳した!」という言葉は、とても実感がこもっていて、ニューロノードのすごさを感じました。利用する障害のある方の意見や希望を大事にしながら、日々のサポートをされている様子がよく分かりました。清原さんのお話にもありましたが、まさに「iPadとニューロノードで、何ができるか、何をしようか」ですね。

今回、たくさんお話しいただいたニューロノードのよさですが、関心を持たれた方は、ぜひレンタルなどでお試しいただき、試してみることをおすすめしたいです。

 

清原さん:東京慈恵会医科大学アクセシビリティ・サポート・センター(ASC)監修のもと、アクセシビリティに関する革新的なソリューションを実際に体験できる「BORECA」という施設があるのですが、そこではニューロノードの使い勝手や効果を直接触れて体感することができます。

10月に無料の個別相談会を行う予定なので、患者さんご本人はもちろんですが、介護に関わる方にもぜひ相談会でニューロノードを実際に手に取って、試していただきたいです!

 

佐藤:話せなくなるのはものすごく辛いことだと思うし、気持ちや要望を伝えられないなんて恐怖です。でも、そんな状態をサポ-トするための選択肢が増えていくことで、希望を持てる人も多いと思います。
10月のリリースが楽しみです!

 

アクセシビリティの展示スペース
アクセシビリティに関する革新的なソリューションを実際に体験できる「BORECA」。

「BORECA」ニューロノード個別体験相談会
◉10月19日土曜日
◉12:00〜16:00
◉場所:BORECA 東京都新宿区歌舞伎町1-30-1 B2F(西武新宿駅 地下2F)
https://boreca.jp/accessibility/
◉申し込み・問合せ:コントロールバイオニクス 日本支社ホームページより お問い合わせください。
https://controlbionics.co.jp/contact/

 

 

★ニューロノードの詳細はコチラ
https://controlbionics.co.jp/

 

Writer:佐藤麻子 Satou Asako