—-体験談—–
役所からは「介護保険サービスを使い切っていないと難しい」と言われて・・。

当時、足はしっかりしていたので手引き歩行で歩けていましたが、構音障害、首下がり、肩は全廃。いよいよ手指の動きが悪くなり日中一人で過ごせなくなったので重度訪問介護の申請をしましたが、役所から「介護保険を使い切らないと認められない」と伝えられました。
私は足が動くので、介護保険のヘルパーさんのモーニングケアと介護ベッド以外に必要な福祉用具がなく、使っていた介護保険サービスは36217単位中30613単位でした。約5600単位余っていたんです。
気持ちを伝えて事例を調べ、ケアマネが根気よく訴えてくれた!
当初、ケアマネも「使い切らないと認められない」という役所の説明を鵜呑みにしていましたが、私から近隣の市では認められている事例があること、希望する生活のビジョンがあることを話し、介護保険サービスを生業にしてきたベテランのケアマネが、一から重度訪問介護の制度を勉強してくれました。
夫が仕事で日中いないこと、メガネが落ちても、涎が垂れても、呼吸しづらい向きに首が落ちても、吸引ができず窒息しそうになっても、細切れに来る介護保険サービスでは補えないことがあること、「見守り」が居なければ死に関わることを役所に何度も足を運び説得してくださり、278時間を取得できました。私の住む市で初めて認められたケースでした。
重度訪問介護制度をもっと理解してほしい。
余談ですが、先日この話をケアマネと振り返ったのですが、重訪の制度を役所の担当の方とも泣きながら勉強してくれていたそうです。ですが、やっと理解を示してくれる担当ができたと思っても、役所の担当は数ヶ月ごとに変わるのでまた一から説明し直しだったそうです。
新たな担当者に引継ぎをする際、自分より先輩だったりすると、重度訪問介護のことを知らなくても、先輩に対して恐れ多くて説明できなかったのか。
それとも人に説明できるほど解っていなかったのかは分かりませんが、引き継ぎができていない様子でした。
役所内でも重訪の制度を知らない人は多く、なぜ介護保険サービスだけでは暮らせないのかを理解できていない人が多いと感じました。学ぶ仕組みをつくってほしいですね。
私たちは、ただ天井を見つめ息をしているだけではないことを知って欲しいです。
※自薦ヘルパー:介護を受ける人が自らヘルパーを見つけ、自分専属のヘルパーとして入ってもらう仕組み。
詳細は別記事で紹介します。
■重度訪問介護制度とは?
病気の進行や事故、高齢により介護保険サービス以外のサポートが必要となった時、重度訪問介護という支援があります。
重い障害のある人が自宅で療養生活を送ることができるようにサポートする事業で、障害福祉サービスの一つです。ヘルパーさんは最高24時間という長時間、介護が必要な人に寄り添い、ケアを行い、心身の自立を支えます。生活のパートナーと言うべき存在となるため、お互いの信頼関係を築くことで、介護を受ける人が自分の望みにより近い生活を実現させることができます。
介護保険サービスだけでは日々の介護が足りないといったときに利用できる心強い支援です。
Q.どんな人が対象ですか?
A.障害支援区分4以上などの条件にもとづき、市区町村が認定した人です。
対象者は、次に当てはまる人です。
| ① 障害支援区分が区分4以上
※障害支援区分とは、どのくらいの支援が必要かを市区町村が認定するもので、区分1から区分6がある
② 二肢(両手足4か所のうち2か所)以上に麻痺等がある
障害支援区分の認定調査項目のうち、「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されている
③ 障害支援区分の認定調査項目のうち行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上
※②③のどちらかにあてはまることが条件 |
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000150449.pdf
Q.どんな制度ですか?介護保険や障害福祉サービスの訪問介護との違いは何ですか?
A.在宅時や外出時の介護を総合的に利用できる制度です。
介護保険や他の障害福祉サービスの訪問は、ケアプランなどにそって、決まった時間に食事やトイレといった決まった内容の介護を受けるサービスです。
重度訪問介護は、決まった内容だけでなく、日常生活のさまざまな場面で、ヘルパーの介助を得ることができます。8時間を超える長時間ヘルパーが滞在するので、自分の希望やそのときの体調に合わせて食事やトイレができるなど、個人にあわせた柔軟な支援が特徴です。それができるのは、他の訪問による介護と違って、「見守り」が認められているからです。
スポーツ観戦やコンサート、友人とのお茶などの外出も、社会参加のためとして認められています。
また、重度訪問介護は重度障害のある方(認定者)が対象となるため、介護保険のような年齢の制限はありません。
※18歳未満の障害児は、重度訪問介護の対象外になります。
| 【自宅】 入浴、排せつ、食事等の介護
調理、洗濯、掃除等の家事
生活等に関する相談や助言
その他の生活全般にわたる援助
【外出時】 移動中の介護
【入院・入所時】意思疎通の支援その他の支援 |
| 日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援 |
厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000150449.pdf
Q.介護保険と併用できるの?
A.介護保険の利用が優先ですが、市区町村からの認定を受ければ、障害福祉サービスとの併用ができます。
介護保険サービスの区分支給限度額を使い切っていて介護保険サービスを増やせない場合は、重度訪問介護を併用できます。
市区町村によっては、「単身者のためのサービス」としているところがあるようですが、同居家族が高齢だったり、日中仕事で家にいなかったりする場合は介護者が必要です。市区町村に、重度訪問介護の必要性を伝えて時間数を確保していくことで家族負担の軽減、また独居での自宅介護生活を実現させている方が増えています。
※上記は、主に肢体不自由の方に向けての説明です。
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