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365日介護日和・生活

制度を利用して自分専属ヘルパーと介護生活を送る!

—体験談—

自分らしく生きたい・・。「自薦ヘルパー」にチャレンジ中!

重度訪問介護に対応してくれる事業所がない?!

病気が進行して重度訪問介護の時間が278時間取得(※)できた時、早速ケアマネが事業所を探してくれましたが、簡単には見つかりませんでした。

私の住む市の「障害福祉サービス事業所一覧」を見ると130の事業所が掲載されています。そのほとんどが「重度訪問介護に対応」と謳っているのに、実際にサービスを提供しているのはごくわずかでした。

※障害福祉サービスにおける介護などのサービスを、1ヵ月あたり何時間まで利用できるかを、市区町村が決定した時間数のこと

 

信頼が生まれないヘルパーさんとの関係にストレスMAX!

やっと親身になってくれるコーディネーターに出会い、まずは週3日の日中だけヘルパーさんが来ることになったのですが、事業所から派遣されてきたヘルパーさんは介護保険サービスのヘルパーを長くやってきた方や、バイト感覚のお嬢さんなど。
予想していたとおり、私が望む生活には程遠く、車椅子への移乗のやり方が分からないので外出することができず、夫が仕事から帰るまでトイレも我慢。構音障害のある私とコミュニケーションも取れないために信頼関係も築けず、ストレスがMAXに!

 

そんな中、痰詰まりを経験し気管切開を決断します。
気管切開するまでにはヘルパーの体制を整えようとしていましたが間に合いませんでした。
そして、退院後は事業所を増やして夜勤も入れ5日間ヘルパーさんに入ってもらうことができましたが、恐れていたとおり視線入力装置を使えない体勢になっているのを気付かない、体位交換もままならない、喀痰吸引など必要最低限のこと以外は何もしない(出来ない)ヘルパーさん達・・・。

 

私は以前から重度訪問介護をお願いするなら、自薦ヘルパーにしたいと考えていました。
私らしく生きるために、私の手となり足となるには、私専任のヘルパーさんでないと叶えられないと思ったからです。でも、自薦ヘルパーの仕組みを知る事業所がなかったので、進めることができずにいたんですが、限界を感じて自薦の道を探り、一年以上かかってやっと広域協会のサポートを受けるという自薦ヘルパー導入に漕ぎ着けました。

 

重度障害者の生活サポートを学ぶ場が必要です!

私が大きく勘違いしていたのは、重度訪問介護のヘルパーはきちんとした実地教育を受けて資格を取っているのだと思っていたことです。でも実際はオムツの替え方も移乗の仕方も知りませんでした。
結局、私がYouTubeで勉強し、構音障害の聞き取りにくい説明で必死に伝え(気管切開後は視線入力で)、夫の協力を得ながら教えていくのはとても疲弊する事でした。

 

自薦ヘルパーに関しても同じです。
基本的に利用者の希望にそった介助をしてもらいますが、その前に「介護の基本」を体験する(おむつを実際にはめてみる等)教育システムやカリキュラムがあったらいいのにと思います。

——-つづく


■自薦ヘルパーについて

「自薦ヘルパー」は、介護を受ける人(患者や家族)が自分専用のヘルパーになってくれる人を見つけ、訪問介護事業所にヘルパー登録してもらい、自分専属のヘルパーとして入ってもらう方法です。

 

【訪問介護事業所にヘルパーを依頼する場合】

※すでに雇用されているヘルパーが派遣される場合、②は省かれます。

 

【自薦ヘルパーを依頼する場合】

 


※自薦ヘルパーの登録は、近隣の事業所に依頼する他、全国ホームヘルパー広域自薦登録協会(「広域協会」)に依頼することもできます。「広域協会」に依頼した場合は以下の流れになります。

①利用者➠広域協会/求人依頼

②ヘルパー➠利用者/連絡のあった方への査収・面接

③利用者➠広域協会/ヘルパー登録を依頼

④広域協会⇔ヘルパーとの雇用契約

⑤ヘルパー➠利用者/訪問介護の開始

 

 

【ヘルパー事業所に依頼するメリット・デメリット】

◎メリット

・求人は事業所にお願いできる

・空きがあるヘルパーが在籍していたら、すぐ入ってもらえる

・管理業務をお願いできる


× デメリット

・事業所が撤退してしまうこともある

・相性が合うヘルパーが来るとは限らない

・地域によっては、依頼できる事業所がない場合がある

・個人に特化したケアや生活サポートはNGの場合がある

・イレギュラーな家事援助は断られる場合がある

 

【自薦ヘルパーを利用するメリット・デメリット】

◎メリット

・自分が選べる

・自分専属のヘルパーで長時間関わるため、信頼関係を築きやすい

・口文字や視線入力などのコミュニケーション方法を伝授し、意思疎通をとりやすい

・宿泊を伴う外出がしやすい

・最初は、無資格・未経験でも可能

・事業所がない地域でも、重度訪問介護を利用できる


×デメリット

・自分でヘルパーを探さないといけない

・登録を引き受けてくれる事業所が必要

・ケア方法を教えるなど、ヘルパーを自分で育てる責任が必要

・むやみに解雇しない、労働環境の整備に努めるなど、管理者的な責任が必要

 


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当事者を含め、介護に関わる人の気づきになることで、自分らしい介護生活を送るための活動につながります。

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重度訪問介護の利用時間に決まりはあるの?短時間はNG?

—体験談—

重度訪問介護で1、2時間の見守りをお願いしたら、うけてもらえる事業所がありませんでした・・。

夫婦二人暮らし。夫が難病になり在宅介護生活を送っています。
難病と診断されて数カ月後、夫は病状が進み、私が買い物で外出する間など、一人になってしまうことを不安に思うようになりました。
私は夫が一人になる時間をつくらないように、外出する少しの時間だけヘルパーさんに見守りで入ってもらいたいと思ったんですが、
介護保険のサービスでは“見守り“でヘルパーさんに入ってもらうことができないということでした。


それで、障害福祉の制度を使い、重度訪問介護でそういったサポートをお願いすることになりました。

最初は家に長時間人がいるのが嫌だったので、「2~3時間入ってほしい」と依頼しましたが、なかなかOKしてくれる事業所が見つからず、なんでダメなんだろ?と・・。

断わられるばかりで、しばらく“見守り”のいない日が続いてしまいました。

 

後かから知ったのですが、重度訪問介護は介護保険では不足する“長時間・連続支援”を補うための制度なので、短時間対応をされていない介護事業所が多いそうです。

事業所として採算が合わない、ヘルパーさんも長時間勤務を希望する方がほとんどなので、7、8時間を希望する方が優先されるそうです。

 

介護に関わる制度は介護保険サービスと障害福祉の重度訪問介護がありけっこう複雑。教えてくれる人もいなかった(そもそも何を聞いていいのか分からない)ので、その都度経験しながら理解していったのですが、制度のことはできるだけ知っておいたほうがいいですね。介護度が増した時の対策がとりやすくなると思います。

■重度訪問介護の「時間数(支給量)」は、全国一律の基準時間があるわけではなく、地域での取り組みにより決められています。

1. 決め方の流れ

  1. 申請者の障害の程度・生活状況を調査

    医師意見書や患者への聞き取り・訪問調査で必要な介護を見定めます。

  2. 市区町村の審査会で審議

    常時介護の必要性(寝たきり・呼吸器管理・意思伝達        困難など)を踏まえ、「1日何時間、週何時間」といった支給量が決定されます。

  3. サービス等利用計画で具体的な利用時間を調整

    相談支援専門員と事業所が、実際にどの時間帯に入ってもらうかを当事者や家族と相談して決めていきます。

2. 実際の時間数の目安

1日数時間から24時間フルサポートまで。

  • 寝たきりで家族も不在なら「1日16〜24時間」支給されるケースもあります。
  • 部分的な介助(外出や夜間のみなど)の場合は「1日1〜3時間程度」の支給もあり得ます。
  • 重度訪問介護は〇時間から、と最低時間を決めている地域もあります。
  • 重度障害で常時介護が必要な人は 24時間連続の重度訪問介護が認められることが多いです。

3. ポイント

「下限(最低時間数)」は制度上は決まっていません。
ただし、最低時間数を決めている地域もあります。事業所が最低時間数を決めている場合もあるので、短時間での訪問は受けてもらえないケースも多くあります。

長時間介護にまだ抵抗があるという場合、短時間での見守り介護お試しを期間限定で提案するなど、相談員をとおしながら事業所の条件と歩み寄ることで見守り介護を頼めることもあります。


「介護保険優先の原則」
があるため、介護保険で代替できない部分に限って重度訪問介護が支給されます。介護保険サービスは介護保険制度、重度訪問サービスは障害福祉なので、別の制度であることを理解しておきましょう。


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イベント

9月の難病Café「ヒヤリハット!」

9月12日、19:30~行われたicotto難病Caféのご報告です。

今回のテーマは「ヒヤリハット!」。

介護生活を送る中で、危ない!と思った出来事、心配や不安になった経験を共有して、気をつける事の学びなるように“ヒヤリハット”について経験談を話し合いました。

誰かの役に立つために・・、皆さんのヒヤリハットを伝えます。


難病患者歴22年、人工呼吸器をつけているOさん

①人工呼吸器のフレックスチューブに穴が空いていました!看護師さんが人工呼吸器のリーク(漏れ)の数値にいち早く気付いてくれたので助かりました。

➠フレックスチューブも不具合が出たときのために常に替えの用意が必要。外出の際も予備の用意を!

②外出中に、人工鼻が目詰まりして、水分が溜まってしまい呼吸苦になりました。
スタッフさんにアンビュー(鼻と口から空気・酸素を送り込むための手動の人工呼吸器)を押してもらいながら外出先で病院に救急搬送されました。受け入れ先の病院はスタッフさんが見つけてくれました。今は、外出時には予備の人工鼻を数個用意するようにしています。

➠外出の際もアンビューバックの用意は必須!いざという時のために、遠方での外出の場合は行き先の救急病院などをチェックしておいたほうが安心。

➠人工鼻は目詰まりするものなので、頻繁にチェック、交換が必要!

★参考:南京病院「人工呼吸器の基礎」


自薦ヘルパーで自宅介護を整え中のYさん

①ヘルパーさんがウォーターサーバーの熱湯を冷まさずに胃ろうに入れようとしたのを、直前で私が気づきギリギリセーフ。

②看護師が爪切りの時、肉まで切った!

③入浴介助の際、浴槽をまたぐ時に上げた足を不意に持ち上げられ、バランスを崩して壁に頭が激突。湯船に落ちそうになりました。

④口の吸引をしている時、痰がカニューレに詰まり窒息しているのに、吸引することに集中し過ぎてアラーム音を気にせずに口吸引を続行。夫が気付いたので大事に至らず済みました。

➠訪問でサポートするヘルパーや看護師さんのうっかりミスや介助の経験不足から起こるトラブルも多いのが現状。トラブル後の報告はミス防止のために必須だけど、患者の心のケアも最優先にしてもらいたいものです。患者がトラウマにならないように、信頼を回復できる対応が必要です。

 

2人のお子さんの子育てにも奮闘中のMさん

—-Mさんから提供された文を掲載(ご本人いわくホラー系のイメージ)

ある夏の夜のことでした。
その日は、私の両親と兄妹と山の中のホテルに泊まっておりました。
食事はどれもおいしく、呼吸器をつけている私は、ゆっくり、時間をかけて食事をしておりました。
食べ終わった者たちは、それぞれお風呂に行ったり、花火をしたりするために、一人減り、二人減り・・。
とうとう、広い宴会場には、私と食事介助をしてくれるヘルパーさんの二人だけになりました。

すると、急に首を絞められたように苦しくなり、どこからともなく機械の音が聞こえてまいりました。

・・・・・・・・。

なんと!バッテリーで動いていた呼吸器のバッテリーがなくなり、呼吸器から空気が一切送られてこなくなったのです。
苦しみながらもなんとかヘルパーさんに呼吸器をコンセントにつなげてほしいと伝えることができ、息をすることができました。

思えば、呼吸器のバッテリーが長持ちになり、ちょっとした外出では切れることがなかったので、バッテリーの持ち時間のことをすっかり忘れていました。
それからは、外出先ではコンセントがあるところでは欠かさずつなげるようにしています。
今でも、ふとあの時、「コンセントにつなげてほしい」がヘルパーさんに伝わらなかったら・・と思うとゾッとします。

➠バッテリーの持ち時間と外出先で電源が確保できる場の確認は外出時のチェック項目に追加したほうがいいですね。

 

一人暮らしの重度保問介護生活に挑戦中のAさん

近所のお祭りに行った時に、たこやきが食べたくなって買って帰りました。
お祭りの雰囲気にすっかり気がゆるんで、たこやきをそのまま食べてしまったんです。

タコも刻まずに大きいままだったので、のどに詰まり、ヘルパーさんにすぐにカフアシストをしてもらって助かりました。
家でよかった。

それ以来、外出時でもカフアシストは必ず持参するようにしています。

➠カフアシスト(咳の介助(代用)をして、気道内分泌物を除去するのを助ける医療用機器)。環境が変わると(外出時)は、気分が変わって当事者もヘルパーも油断しがち。日ごろからいざという時の備えと訓練を。

 

胃婁を検討中のTさん

看護師さんに入浴介助を受けています。毎回、同じ方が付いてくれるわけではありません。人により介助がうまい、下手があるので、介助があまりスムーズでない方が付いた時に、お風呂に落ちて頭を打ったことがあります。
そのトラブルがあったことで、一人では介助できないとなり、ヘルパーさんと看護師さんの2名体制になりました。

➠入浴介助でのトラブル。当事者の介護度や体系にもよるけれど、2名体制ができれば安心につながりますね。介助者に声かけしながら等、言葉でのコミュニケーションも危険防止に少しは役立つかもしれません。

 

スマートホーム化での介護生活を実践中のOさん

身体ケアや日々の生活について手順書を出しているが、理解してくれないヘルパーさんがいて、それが困り事。会社とヘルパーさんの温度差を感じています。

とくに機械系の扱いや使い方を覚えない人、理解してくれない人はミスが多く、誤った機械操作で危険を感じることがあります。

電動車椅子のスイングアウト機能や移乗の際に使うスリングシートの使い方の誤りで、何度か危ない目にあっています。

➠スイングシート(リフトと組み合わせて移乗用に使用される介護用シート)、車椅子のスイングアウト機能( 車椅子の脚部を外側に開くことができる機能。 介護者が安全かつ効率的に利用者をベッドから車椅子へ移動させるために使用)の使い方は、事業所等で十分に練習してもらいたいですね。YouTubeでも多数紹介されています。

 

アレクサを使って照明やヒーターを作動させるようにしているのですが、ヒーターのつけっぱなしがあり、その近くに置かれたスリングシートの紐が焦げるという事件が発生。もちろん報告して問題にしたんですが、ヘルパーさんは認めず、結局うやむやになってしまいました。このようなことがいくつかあるので、信頼できないもどかしさを感じています。

➠機械系の操作は誤ると事故に発展することも!知らない、分からないでは生活のサポートはできないのだから、事業所(行政なども)は事前学習や経験を得る場を作ってほしいです。“もどかしい”思いを情報として提供して伝えていきましょう!

リフト・スリングシート(イメージ)
スイングアウト機能付き車椅子(イメージ)

 

臨床工学技士で介護テクノロジーの提供を行うIさん

病院では、当事者の方からヒヤリハットがあったことを教えてもらうと「教えてくれてありがとう」という受け止め方をしています。でも在宅介護の現場では、まだそういう姿勢が十分でないようですね。

 

介護福祉機器は専門分野なので、ヒヤリハットに関する資料をご提供します。
★参考:在宅医療機器のヒヤリハットと災害対策

人工呼吸器に関わる気をつけたほうがいい点ですが、人工鼻は詰まります。詰まるものだという認識でいたほうがいいです。病院だと24時間に1回交換しています。

また、人工鼻を使っている人は同時に加温加湿器は使いません。人工鼻のフィルターがふやけて役割をしなくなるので、同時併用はできません。

知っていると気をつけようという意識が働くので、危険を回避できることも増えると思います。そういう意味でもヒヤリハット情報は介護生活に必要な情報です。
ヘルパーさんにも資料や動画などで情報提供をして伝えていくほうが、理解されやすいと思います。

参加の皆さん、情報提供ありがとうございました!