屋台の相談カフェを開く薬剤師、石丸勝之さんに注目です!
石丸勝之さん、東京都板橋区で在宅療養される方を対象にした薬局の薬剤師さんです。
とはいっても、石丸さんは薬局の中にいて、お薬を調剤してくれる薬剤師とは少し違うようです。勤務先は在宅専門なので、お薬の管理や服薬指導は患者さんの自宅に訪問して行っています。
そして、休日は屋台をひき、立ち寄ってくれたお客さんにお茶をふるまい、おしゃべりを楽しみながら体調や健康相談にのっているそうです。
そんな石丸さんを知ったのは、WEBメディアに掲載されていた記事でした。
-「雑談のなかにこそ健康状態を知るヒントがある」。
-「屋台を引くエプロン姿の薬剤師。夢は『調剤喫茶』を開くこと」。
高齢化社会になり、在宅療養が浸透する中で、病院や薬局だけが
医療の現場ではなく、地域の人が健やかに生活するための支援が多様化している。そんな時代の変化を改めて感じながら、石丸さんの発想と行動力に惹かれて、お話しを伺う機会をいただきました。
Interview
薬剤師という型にハマらない、
対話から始まる健康サポート。
-いろいろなメディアの取材を受けられていますね。それだけ、石丸さんに多くの人が注目しているということですね。期待されることでプレッシャーを感じたりしていませんか?
石丸勝之さん(以下:石丸さん)「屋台で街に出て健康相談を行うという構想を実現させるために、クラウドファンディングに挑戦したんですが、その時、自分が思った以上に支援してくれる人がたくさんいて驚きました。注目してもらっていること、期待されていることはしっかり受けとめていますが、プレッシャーという感じではないです。
その期待に応えたいという思いのほうが強いかな。
ただ、初めてのことばかりなので、新しく知ることや、やらなきゃいけないこともたくさんあって、今は学ぶことがすごく多いです。
想像していたのと現実は違ってた、ということもけっこうあるので、その度に臨機応変に対応したり、軌道修正したり。それでも、前に進んでいる感触はあります!」
-コロナの感染の問題で、いろんなことが進まなくなっている中で、新しい挑戦をするのはすごくエネルギーがいると思います。何もしないと変わらないから、やれるだけのことを出し惜しみせずにやるしかない。石丸さんの行動からは、そんな勢いとまっすぐな思いが伝わってきますね。
出会った人を元気にしてくれるような、明るいオーラ―を感じる(笑)
石丸さん「それは、うれしいな(笑)
昨年の9月にクラウドファンディングで多くの人に支援していただき資金の目途がたって、屋台をつくりました。11月にやっと営業許可が出て、12月に初始動という流れで進んできましたが、まん延防止になって今は様子をみている状態です」
-発想がすごくいいですね。それに行動力も。普通に薬局の中で働く薬剤師の仕事では得られないやりがいを感じていますか?
石丸さん「自分のやりがい、というのも確かにありますね。でも薬剤師としてのやりがいを求めているということではないんです。もちろん薬剤師の知識と経験が役に立てるのなら、喜んで相談にのります。ただ、そういう健康相談にのることがすべてじゃない。薬や健康以外に話したいこと、聞いてほしいことって、皆さんたくさんありますよね。健康相談がしたい人のほうが少ないと思います。
日々の生活の中で、生きづらさを感じていたり、ちょっと困っているようなこととか、そんな話をしたい時の受け皿というか、話して気持ちがラクになるような場をつくりたいという思いがあるんです。
だから今は、そのためのスタートラインに立ったばかりですね」
-石丸さんのそうした思いは、いつから“夢”となって走り出したんでしょう?
石丸さん「子供の頃から“近所の頼れるおっさん“になりたい、そんな人に憧れるような気持ちがあって、そこが原点かも。
僕は東京の下町育ちなんですが、母親がおせっかい母さんでいろんなことに首をだして、世話を焼いているような人だったんです。そんな母親の影響かもしれません」
-薬剤師になったのも、医薬で人の支えになりたいという思いがあったから?
石丸さん「そうですね。でも、薬局の薬剤師を経験して、少し違うなという思いが膨らんできたんです。
薬局のカウンター越しでは、患者さんは落ち着いて話ができないし、困っていることや相談したいことがあっても話づらいようです。
薬局内は待っている人がいて、混んでいることが多いので話づらいとは思います。でも、それだけじゃなく、患者さんにとって白衣を着た薬剤師は気軽に話せる人ではなく、薬局は話しをしたいと思う場所ではないんだと感じて。
なんか違う、そんな違和感を持つようになって在宅専門の薬局に転職したんです」
寂しい人をつくらない、
あたたかい街づくりを。
-そこから一気に目標に向かって走り始めることにしたんですね。
屋台cafeはスタート地点ということですが、これから実現しようとしていることはどんなこと?
石丸さん「喫茶店のマスターになることです!街に住む人が困ったり、相談したい時に此処に来ればどうにかなるかも、そんな存在になることを目指します。そして、街の人をつないだり、支えあいのコミュニティーが生まれる場をつくりたいですね」
-人の役に立つ。それを具現化することはいろんな意味ですごく難しいことだと思います。
さらりと話してくれたけれど、実際、石丸さんはいろんなことを積極的に学びながら、人の輪も広げていて、しっかりと一歩一歩を踏みしめながら歩んでいますよね。
石丸さん「たしかに、いろいろな方から学ばせてもらっています。
自分の目標を一言で言うと『だれも寂しくないまちづくり』なんです。
調剤喫茶はコミュニティーをつくるための場で、実際に人の役に立つように機能するには、生活に関わる様々な面でのサポートが必要だと思っています。それは医療の範囲をはるかに超えた多方面での知識だったり、専門性だったり。
そうしたいろんな分野の方と協力しあうことが大切かなと思って行動しています」
-例えば、どんな時にそういう協力が必要ですか?
石丸さん「例えば、健康や病気、体調不良では、日々の食事が影響していることも多くあります。そうすると栄養や漢方、ハーブなど、食に繋がるいろんな面での知恵というか情報が必要になってくる。
そんな時に、管理栄養士や調理師、それに八百屋さんやお肉屋さんも!それぞれの専門分野の方の力を借りることができれば、役に立つことが増えていきます。
だからこそ人の繋がりはとても大切で、これからも広げていきたいと思っています!」
-石丸さん、ありがとうございました!
石丸さんの夢が叶うと、癒される人、助かる人が増えていく。
そんなイメージが頭に広がって、シアワセな気持ちになれました。
石丸さんの開いた調剤喫茶が、街中を温めてくれる存在になる日を待ち遠しく思います。
■Twitter/ ※調剤喫茶いしまる/匿名質問を募集中!https://twitter.com/chozaikissa
『いしまる調剤喫茶・in Unique』はじめます!
Uniqueでは、石丸さんの「雑談から始める健康相談」エピソードを配信していきます。
体だけでなく、心の調整が必要な時も気軽に訪れてもらいたい。そんな
『いしまる調剤喫茶・in Unique』。
どうぞよろしくお願いします。