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HALの効果は?知りたいことが盛沢山!教えてください、HAL®のこと。

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HALの効果は?知りたいことが盛沢山!教えてください、HAL®のこと。

Interview


治療薬がない難病患者にとって、現状維持や機能改善の可能性があるHAL®は、注目すべき存在です。もっと身近に感じられるよう、HAL®について、営業部門・本部長の安永好宏さんにお話を伺いました。

医療用HAL®は8疾患が保険適用!
さらに非医療用で利用者ニーズに対応!

― HAL®は保険適用になっていることで、注目度が高くなっているのを感じます。医療保険で治療が受けられるのは患者にとってありがたい話ですが、HAL®を導入しているところはどこも医療保険で対応してくれると思っていいのでしょうか?

安永さん「HAL®の医療用下肢タイプは、現在8種の疾患(※1)に対して保険適用となっています。該当する疾患の診断を受けている患者さんは、医師の診断のもとに、HAL®による治療が医療費で受けられることになります。
ただ、HAL®を導入している病院や施設がすべて医療保険で対応しているかというとそうではありません。HAL®の下肢タイプには医療用と非医療用の2タイプがあるので、医療保険外でリハビリを行っている施設やクリニックもあります。その点は施設に直接ご確認ください」

― 保険適用の疾患が8種類に限られているんですね。それ以外の疾患でHAL®の治療を受けたいという場合は、医療保険で治療を受けることができないということでしょうか? 保険が適用にならないのであれば、費用がどのくらいかかるかも気になりますよね。

安永さん「保険適用に関しては医師の診断が必要なので、それにより適用疾患であっても治療を受けられない場合もあるし、反対に適用疾患以外の患者さんでも医師が必要と判断すれば、治療が可能となる場合もあると思います。
また、医療保険外においては、リハビリを主とする施設やクリニックで非医療用タイプのHAL®を利用できるところもあります。この場合、介護保険や自費扱いなど、利用条件が施設により異なるので注意が必要です。利用条件によってかかる費用に違いが出るので、ご利用を検討される施設がある場合は必ず事前にお確かめください」

-医療用ではないタイプがあったんですね!2タイプは機能などが異なるのでしょうか?

安永さんHAL®そのものに違いはないんです。異なるのは信号をキャッチするセンサーです。医療用のほうが精密度が高く、微弱な信号でも読み取れるようになっているので、病気が進行するなど体が動かしにくくなっている方でも治療できるよう開発されています。
装着感など、利用した際に違いを感じることはないので、安心してください」

相談は、どこに、誰に?
体験、治療の相談は、まず主治医に。

― 医療保険で治療を受けることを望む患者さんは多いと思うのですが、治療が受けられるところを知るにはどうしたらいいのでしょう?また、治療の前に、まずは体験をしてみたいという人もいるのでは?


安永さん「体験を望まれる方は、ここ(つくばロボケアセンター※2)で予約を受付ております。その他には、HAL®プログラム施設『ロボケアセンター』が全国に16ヵ所あり、体験できるセンターもあります。いずれも体験料がかかるので、治療をお考えであれば、保険適用可能な病院でご相談されることをおすすめします。
HAL®の治療は医師の診断によりますので、まずは主治医に相談し、導入されている最寄りの病院も伺ってみてください。現在、全国で56ヵ所以上の病院で治療が行われております

―まずは主治医に自分の希望を伝えて、相談することが大切ということですね。

安永さん「はい、そのとおりです。まだまだ、患者さんが利用しやすいと言えるほど、導入されている施設や病院が多くはありません。これからもっとたくさんの医療機関にHAL®を導入してもらい、より多くの患者さんが治療を受けやすい環境を作れるよう努めていきたいと思っています」

― 個人的な意見になりますが、患者も自分から進んで意思を伝える、これは闘病する上でとても大切なことだと思います。何でも人任せでは、希望どおりにいかないことが多いのではないでしょうか。
サポートしてくれる人がいつも一緒にいるからといっても、患者自身の思いは分からないことが多いはずなんです。だから、「伝える」ってすごく大事。HAL®の治療もまず「伝える」からスタートですね。
ロボケアセンター一覧 | ロボケアセンター | 脳梗塞、脳出血、脊髄損傷の後遺症 介護リハビリを支援ロボケアセンターの全国の拠点がこちらのページでご確認いただけます。robocare.jp

気になる効果は?
筋肉ではなく、脳にアプローチして機能を改善する!

― 次は気になるHAL®の効果についてお伺いします。HAL®は筋肉ではなく、脳へのアプローチで機能回復をはかると聞きましたが、どいったシステムになっているのでしょう?わかりやすく説明をお願いします。

安永さん「HAL®は脳から神経を通じて筋肉に送られる信号を読み取り、患者さんの意思に従った動作を実現します。そして、この動作の感覚がHAL®を通して再び人の脳へとフィードバックされます。動作の実現と、フィードバックからなる神経信号のループによって脳神経系と筋骨格系のつながりが強化され、機能改善に結びついていくという流れです」

― 途切れてしまいそうな脳と筋肉が、HAL®を介して繋がるんですね!脳が機能を改善させようとして、身体の中に新しい動きが出ているようなイメージでしょうか。
人間の再生力ってすごい!テクノロジーの進化もすばらしい!


安永さん「テクノロジーの力を借りれば、可能性をどんどん広げることができますね。ただ、治療に取り組むのは早いほうがいいです。神経も筋肉も、動かないようになってしまうと改善するのはとても大変です。失わないうちのほうが現状維持しやすく、改善も期待できます」


― 歩きにくいぐらいだと、まだ大丈夫と思いがちですが、すでにそこからスタートしたほうがいいということですね。
治療に関する基本プランのようなものは、現在あるのでしょうか?

安永さん「今、疾患別に、HAL®で治療を行ったデータが集まってきています。これをもとに、医師とともに治療のガイドラインを作り、今年中には出来上がる予定です」

―  どのくらい、どんなふうにやれば効果がでるのか、というのはとても気になります。毎日なのか、日をあけながらやったほうがいいのか、治療の目安のようなものがあるといいですね。症状や疾患によりけりだということもわかりますが、目安があると安心できるし、目標が立てやすいと思います。
現状での保険適用は、5週間のうち9回が1クールで、効果がみられる患者さんは2クール、3クールと治療を続けているようです。入院することが条件だったり、通院OKだったり、病院によって条件が異なるので、HAL®に興味のある方はこの点も確認して判断したほうがよさそうです。

テクノロジーに期待!
障がいをサポートして、さらに改善へ。

ー 今、テクノロジーはより医療に近づき、治療の領域に入ってきていることを実感できました。体の機能改善への可能性が広がっていることは患者にとって大きなメリットだと思います。
サイバーダイン社は、この下肢タイプのHAL®の他にも、病気や身体的な障がいのためにサポートが必要な方にむけた製品開発を多数行っていますね。
医療とは違った方面からもサポートがあるということは、心強いです。

安永さん「“生活に役に立つテクノロジー”を基本の考えとして、開発はどんどん進めています。例えば、在宅でも使えるコンパクト設計など、患者さんや高齢者がもっと便利で使い勝手がいいように進化させていく計画を進めています。
最近、HAL®腰タイプをご自宅で利用いただけるサービスを開始しました。「試してみないとわからない」という方のためにお試しキャンペーンも実施されています。ご興味のある方はぜひ!

- それは、どんな方が利用したらいいのでしょう?

安永さん「HAL®腰タイプは、足腰の弱った方などの体幹・下肢の運動をアシストして身体そのものの機能向上を促します。そのため、HAL®を外した状態での自立度を高めることが期待できます。
立ち上がったり、動くことがしんどくなったと感じる方や、歩くときにつまづいたり、足が上がりにくく感じる方、退院後の自立支援にもご利用いただいております」

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「HAL®︎腰タイプ」

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Prof. Sankai University of Tsukuba / CYBERDYNE Inc.
「HAL®︎腰タイプを使った自宅での運動イメージ」

- 自宅で利用できるのは手軽でうれしいですね。レンタルってことですか?

安永さん「はい、レンタルになります。もちろん、製品をご提供するだけでなく、使い方の講習や運動プログラムのご提案など、オンラインでのサポート体制も整っています」

ー お話を聞いて、テクノロジーが患者や体が不自由な方をサポートする、というよりも生活の一部になっていくだろうというイメージを持ちました。費用や使い勝手、さらに利用施設の増加など、まだまだ課題も多いように思いますが、ここからどんどん改善改良、そして開発を進めていってもらいたいですね。
HAL®だけでなく、今後の新しい開発にも期待を込めて、これからもサイバーダイン社には注目していきたいと思います。どうもありがとうございました!

安永さん

サイバーダインHP:CYBERDYNE装着型サイボーグが未来を変える

HALFIT:自宅でNeuro HALFITのご紹介

※1保険適用8疾患:脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー

※2:『つくばロボケアセンター』 茨城県つくば市研究学園5-19
TEL : 029-828-828


Unique/Writing:Maeda Rie