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- 難病患者の交流会「icottoイコット」に遊びにきませんか?難病患者のコミュニケーションをサポートし、難病の啓発と生活の質の向上を目指した活動を行なっている民間の団体「icotto」をご紹介します。現在、指定難病に入る疾患は330以上もあります。治療法がなく、体調維持が最善という状況の中、難病の患者さんは、病気の進行や不自由な環境と闘いながら日々を送っています。 病気になると、外出するのが困難になる方が多くいます。コロナ禍により、介護する家族も同様で、他人とのコミュニケーションをとる機会が減って孤独を感じる人も少なくありません。icottoでは、疾患に関係なく、患者や家族、さらに医療、介護、セラピストなど患者をサポートする側の人も参加できる交流会を開き、情報交換を行っています。 「icottoの名前は「気軽にいこっと」というイメージでつけました。誰もが気軽に参加して質問をしたり、また答えたり。たわいもないおしゃべりに花を咲かせてもらいたいという思いが込められています。闘病を続けていると、一人だと考えすぎてしまい、絶望と孤独しか見えなくなってしまうことがあります。人とコミュニケーションをとることで、気持ちが明るくなるし、元気になれる。新しい出会いや繋がりができるなど、喜びや楽しみも生まれます。それに、実体験をもとにしたナマ情報が得られる場も必要だと思ったんです」 icotto主催:前田理恵/丸山明子 icottoの公式LINEに登録すると、交流会やグループチャットに参加することができます。現在、全国各地、220名近い登録者があり、大所帯となったicotto。登録されている人は患者だけでなく、ご家族や患者さんをサポートする方、ヘルパーさん、看護やリハビリ職の方など、さまざまです。 患者に関わる全ての人に、知ってほしい、気付いてほしい。 そんな思いを込めて、患者だけでない交流の場づくりを行う活動を続けています。 ちょっと覗いてみようかな。そんな気持ちでicottoに立ち寄ってみてください。 団体名 icotto(イコット) 登録者数 220名※2023年現在 登録料 無料 登録方法 公式LINEにご登録くださいhttps://lin.ee/55pcWLy1l 登録対象者 難病患者(確定診断のみ)、難病患者ご家族、介護、医療、 福祉に携わる方、難病支援(ボランティア)に関心のある方。 対象地域 全国 主な活動 ・交流会開催※現在オンラインのみ ・LINEによるオープンチャット常設・難病・介護・リハビリに関する情報提供※icottoは個人的なお付き合いを目的とした集まりではありません。個人情報を公にしたり、特定の方へのアプローチはご遠慮ください。 主催者 前田理恵・丸山明子 当い合わせ icottocafe@gmail.com
- 心とカラダを調えるセルフメディケーション・患者と介護者の支えあいのケアを提案していきます。カラダの不調をなくすための、気持ちイイの先をめざしたセルフケアを。 セルフメディケーション。 自分自身を癒し、体調を調えて過ごす。 それができていれば、きっと毎日、元気でいられるのだろうと思います。 もちろん、病気にならないなんてことはないけれど、リスクは減ります。そして何よりも、つらさから解放されて気持ちよく過ごせるようになれば、自然と心も軽くなりますね。 でも、現実は… -時間がなくて。 -やり方がわからない。 -どうせ長続きしない(あきらめモード)。 できない理由はたくさんあるけれど、この際、思い切って不調を改善するためのはじめの一歩を踏み出してみませんか? Uniqueでそのきっかけがつくれたら…、そんな思いでセルフメディケーションセミナー始めます。 皆さんのご参加をお待ちしています。 病気や障がいがあっても、セルフケアを日常に取り入れてく。支えあいのケアをご提案します。 慢性的なカラダの不調は心にも影響を及ぼします。呼吸がしずらく感じたり、動悸がしたり、夜なかなか眠れない…。自律神経の乱れもほっておくと修復が難しくなってきます。 自分ケアは早いに越したことはない。 それは、障がいや病気のある、なしに関わらずです。病気や身体の機能障害の影響からくる様々な不調は、日々のケアで療養生活にも違いが出てきます。 例えば、車いす生活を送る方は、足のむくみに悩む人が多くいます。むくみが軽減できればカラダ全体に血流がよくなり、冷えや頭痛、関節のこわばりなども改善することも。 ご自身で行うことが難しいときは、ご家族やサポートされる方と一緒に、ケアの方法を学んでみてはいかがでしょう。 Uniqueでご提案するセルフメディケーションは“自分だけで行うケア“ではなく、支えあいのケアでもあります。 家族やサポートされる方と支えあいながら続けていき、それが日常の中で浸透すれば、ケアのある生活習慣が生まれていきます。 大切な人を支える方にも知ってもらいたい。 障がいや病気のある人も、ない人も、支援される方、支えているご家族も、皆さんに気付いてもらいたい。 セルフケアで自分を、生活を変えていきましょう。 カラダが欲する。心がリラックス。自分自身が求めるバランスの調え方を見つけましょう! Uniqueのセルフメディケーションセミナーでは、様々なセルフケアを学ぶことができます。 自分にあった方法を見つけていくために、興味をもったセミナーに体験してみることをおすすめします。 どんなセミナーが行われるのかは随時、インストラクター紹介を掲載していきますのでお楽しみに。 ご興味をもっていただけたら、facebookグループ「Unique S-medi」に参加してみてください。 セミナー内容やインストラクター紹介、イベント情報も配信していきます。 Unique Self-medication | Facebook 【イベント・セミナー開催報告】 ●10/16(日)セルフメディケーションイベント開催 https://unique-w.net/category-event/4141/ https://unique-w.net/category-event/4225/ https://unique-w.net/category-event/4254/ ●11/23(祝・水)リンパドレナージセミナー開催
- あなたの活動、経験が誰かのためになる。Uniqueから発信を!Uniqueでは、各団体、企業、個人で活動されている方への広報サポートを行っています。 インターネットが主流となった今の時代。誰もが広く、早く情報を発信できるのは便利ではあるけれど、移り変わりが早いので、動きについていくのは大変です。時間もお金もかかるから、もう放棄してしまうおう…という気持ちも理解できますが、ホームページのクオリティーが信頼や信用にまで影響を及ぼすくらいネット効果は大きいので、活動や運営を続けていくためにも、無視することはできないと思ったほうがよさそうです。 社会のニーズはわかっているけれど、それに応えることができない、対応できる人がいなくてついていけいない。そんな時はどうすればいいのか。困ったままにしておいては前に進めません。 Uniqueでは、誰かにアドバイスをしてもらいたい。困った状態から抜け出したい、もしくはもっと活動や情報を広めたいという時に記事掲載でご紹介するサポートを行っています。 ホームページの代りとして情報提供にご利用していただくことも可能です。 個人でファシリテーターとして活動を始めたいという方からの相談も大歓迎! 下記のアドレスからメールで相談内容をできるだけ詳しく記入して、送ってください。 まずはメールで無料相談してください。 ※以下を入力。伝えたいことなどあれば、付け加えてください。 団体・企業・個人名 担当者名 TEL Mail ホームページや広報ツールのデータ(制作している場合) 相談内容 ※件名には「要相談」といれてください。 ※アドレスはコチラです。 info@unique-w.net Uniqueで配信しませんか? とにかくわからない…。といった相談もOKです。イベント告知、会員募集も記事掲載できます。 どんなこと、どの程度のことを相談していいの?どんな内容が記事になるの?と心配される方のために、実際に受けた相談をあげてみました。 ◆一般社団法人を立ち上げた方からの相談内容は、ホームページの制作について。 Q.トップページを含めて3ページでいいんだけど、制作に30万円もかかるって!3ページなのに、そんなにかかるの? インターネットで調べて、制作会社見積もりを依頼したそうで、なんだかんだと30万円くらいかかってしまうということがわかったとのこと。制作費をかけられないので、ホームページを断念するしかないのかというご相談でした。 ◆オンラインイベントを開催することになり、参加者募集の方法と宣伝方法についてのご相談もありました。 Q.前回やったオンラインイベントは、思ったほど参加者が集まらなくて。今度こそって思っているんだけれど、何をすれば参加者が増えるのかわからなくて…。 SNSを使って拡散し、参加者を増やしたいと考えているけれど、やり方がわからずにストップ。何から手をつけたらいいのか、スケジュールを立てて進められるようにしたいとのことでした。 相談ごとに予算や条件などが異なるため、アドバイスの内容も様々。Uniqueのサイト内で記事としてPRする他、対応できる制作会社の紹介なども行っています。できる限りのご協力、アドバイスを行いますので、ご連絡お待ちしています。 ◆Uniqueで記事紹介します!ご参考に。 難病患者の交流会「icottoイコット」に遊びにきませんか?
– INTERVIEW –
インタビュー
- 地域の栄養ケアステーションをめざして クラウドファンディングに挑戦! 管理栄養士 井上美穂さん現在クラウドファンディングに挑戦し、食による心身のケアを主とした活動を精力的に行っている井上美穂さん。 枠にはまらないその発想力と行動力は、いつでも人をわくわくさせたり、やさしい気持ちにさせてくれます。 3年ほど前、美穂さんとは一冊の冊子が縁で知り合うことができました。その冊子は、栄養バランスを考えたコンビニでのお弁当、総菜の選び方をアドバイスした内容で、実際に販売されている品々が写真で紹介されていて、とても分かりやすくて実用的に仕上がっていました。これまでにない新しい視点でこんなに丁寧に食する人のことを考えて作ったことが伺える一冊。きっとかなりのエネルギーを要したことでしょう。 これを美穂さんがほとんど一人で作りあげたという話をきいて、彼女の思いの強さに心が動かされたことを今も覚えています。 訪問栄養指導が活動の出発点に。 手作りではなくコンビニ食での栄養バランスをテーマにしたのは、 「その冊子は栄養指導で訪問する患者さんや介護者の方に配りました。コンビニやスーパーでお弁当や総菜を買っている一人暮らしの高齢者がすごく多くて、そうしたお年寄りの偏った食や孤食の現状をどうにかして変えるきっかけを作れたらと思ったんです」 冊子は「こんなのが欲しかった!」と、患者さんだけでなく介護職の方にもすこぶる好評だったようです。美穂さんはそんな喜びの声を聞くたびに、食生活の問題をいかに多くの人が抱えているかを身近に感じて、自分の目指す方向が見えてきたと言います。 キッチンカーで新しい食の提案を始動! 美穂さんは現在、会社勤めを辞めて、食と栄養をテーマに様々な活動を仕事として行っています。 その一つがキッチンカーによるバランスのよい食の提供です。 「キッチンカーでの活動は、訪問栄養指導の際に患者さんが言った『何を食べたらいいかわからなくなった』という言葉がきっかけで始めました。毎日、一人でぼそぼそとコンビニ弁当を食べていると食に対する興味も楽しみもなくなってしまうんです。何を食べてもおいしいと思えない。食べたいという気持ちさえどんどんなくなっていく。ゆっくりと話す時間のない中で栄養指導をしていても、何も変えることのできない自分に無力さを感じました」 時間に追われながら生活する人、いつも一人で食事をする人が増えている現代では、日々の食事を大切に思い、楽しむ気持ちはどんどん薄くなっていっているのかもしれません。 「食事を楽しむことは、心と体の栄養に繋がっていくはず。キッチンカーを通じて温かい食事を届けるだけでなく、栄養面での相談にも対応しています。誰でも気軽に心配なこと、困っていることを話せる“おしゃべり相手”になれたらいいな、とそんな思いで活動を始めたんです」 クラウドファンディングに挑戦! そんな美穂さんは、今クラウドファンディングに挑戦しています。 美穂さんの目標は3つ。 1.誰でも管理栄養士に相談ができる移動型の【食の相談室】を作る! 2.キッチンカーを通じて外出のきっかけを作り、閉じこもりを防ぐ! 3.食事を通して、何をどれくらい食べたらよいか感じてもらいたい! 「今回のプロジェクトの目的は、このキッチンカーで、地域の方に温かいお食事を届けることです。現在はレンタルの車両を使わせていただきながら週に1度、オフィス街で販売し、少しずつですが地域のイベントにも参加させていただけるようになりました。 そんな地道な活動を続けていくと、地域の介護や医療のイベント、高齢者施設、団地やスポーツイベントにも声をかけていただくようになり、今年はもっと地域に目指したキッチンカーに成長するためにクラウドファンディングに挑戦させていただきました」 「“お節介”なワタシに気軽に話しかけてください!」 管理栄養士に相談…と言われると、何から聞いていいのか、どんなことを教えてもらったらいいのか分からなくなって、質問が出てこない。そんな人、きっと多いと思います。〇〇の専門家という人を目の前にすると、ついつい身構えてしまう。 美穂さんは、そうした壁を取り払い、地域の中で一人でも多くの人と話をして、食事について考える機会を作ってもらうことが自分のミッションと言います。さらに必要な人には介護や医療につなぎ、地域のネットワークの繋ぎめを担うことも自分にとって大切な役割りと思っているそうです。 「私は、食生活に問題がある方に『食べてはいけない』と伝えるのではなく、どうすれば食べられるのかを一緒に考えていきたいと思っています。 人はみんなそれぞれ。これまで続けてきた食事の仕方があるので、それを否定するのではなく、受け入れた上でどうすれば少しでも長く自宅で過ごせるかを考え伝えていきたい。受け入れてもらうには、自分もその人の生き方を知って、受け入れることが大切なんですよね。 私のことを“お節介な人”って思う人、きっといますよね。 そう思ってくれるのはうれしいことで、私にとっては褒め言葉なんです。 必要な人へ必要な食事を届けたい。管理栄養士になった私の使命として、食の大切さをこれからも“お節介”しながら”伝えていきたいと思っています!」 クラウドファンディングは3月30日まで。 この記事を読んで、興味を持った方、自分の食事について考える機会になった方、どうぞ美穂さんのクラウドファンディングサイトを訪れてみてください。 ★クラウドファンディングサイト https://for-good.net/project/1000514 管理栄養士:井上美穂 急性期病院での栄養管理や給食管理を経て、在宅専門の薬局に就職し、訪問栄養指導業務を行う。 その後、個人事業主となり、キッチンカーでの食の提供を行いながら栄養指導を行う活動を始める。地域の誰もが気軽に会いに来れる管理栄養士を目指して、必要な人に必要な食事を届けたいという思いで活動中。 ★食の相談室おむすび(キッチンカー) ・豊洲センタービル/水曜日・11:00~14:00 ・THE TOYOSU TOWER/水曜日・16:00~20:00 ※4/3以降はOtemachiOne/水曜日・11:00~14:00に変更 ★ふれあい歯科ごとう(訪問栄養指導) 木・金曜日(時間は相談に応じて) 東京都新宿区北新宿4-11-13せらび新宿1階 TEL 03-5338-8817 HP:https://fureaishikagoto.com/ ★Sunny days Cafe(介護相談もできるカフェ) 月・土曜日(土曜は第2・4のみ)・11:00~17:00※ランチは11:30~14:00まで 東京都新宿区上落合1-9-11 レミコ学院ビル1階 TEL:03-5358-9920 HP:https://sunnydayscafe.hp.peraichi.com/
- インクルーシブな社会をめざし地域に根差して活動する、DET群馬 代表 飯島邦敏さんinterview-1障害平等研修(DET)を原点に、住みやすい町づくりを! 最近、インクルーシブという言葉を頻繁に目にし、聞くようになりました。情報は溢れるほど豊富にあり、様々な考えや取り組みが行われていることを知ることができます。 その一方で、自分には何ができるのか、何をしたらいいのかと、「多様性が当たり前の社会づくり」という壮大なテーマに対し、迷走する人も多いのではないでしょうか? インクルーシブ社会の実現をめざすDET (Disability Equality Training・障害平等研修)群馬代表の飯島邦敏さんに、ご自身が目指す社会に向けた活動について、たくさんのことをお伺いしました。 障害は社会がつくったもの。基準を変えていくことで、バリアはなくなる! 前田:最近、インクルーシブな社会(多様性を認め合う社会)に向かっているんだな…と感じることがありますが、飯島さんが病気を発症し、車いすユーザーになった10年以上前に比べると、障害者を取り巻く環境は徐々に変わってきていますよね。飯島さん:私もそう感じています。地域にもよりますが、当時はまだバリアフリー化が新しい感じでしたから。私の病気は、10万人に一人という難病です。そのため、病気に関する情報は少ないし、今のようなオンラインで交流する手段もなく同病者と会うこともがんばらないと実現できない。すごく孤独で不自由なことばかりでしたね。 とくに外出時、トイレや道の段差、階段とか、車いす生活になってこんなにも不便なことが多いということに気付きました。 トイレ探しは車いすユーザーにとって、大きな不安材料になるんです。私もそれがストレスで、だんだんと外に出ることをしなくなっていた時期もありましたから。 前田:病気になっていろんな変化を受け入れることができなくて、なんとなく引け目を感じているという人、少なくないですよね。人に迷惑をかけたくない、足手まといと思われたくない、誰だってそう思いますから。 飯島さん:でも、このままではダメだと思って患者会を立ち上げたりしながら、少しずつ活動を始めたんです。 ただ、自分が暮らしにくいと思う経験をたくさんしているのに、それをどうやって変えていったらいいのか、どう行動していいのかがつかめず、前に進んでいるようで進んでいない。 何か足りないな…と感じていました。 前田:そんなときに、人生を変える研修に出会ったんですね。 飯島さん:その当時、DETフォーラム(※)の講師による障害平等研修が伊勢崎市内で行われたんです。その研修に参加して、まるで雷に打たれたようにすごい衝撃を受けました。それまでモヤモヤとしたことがクリアになって、いろんな迷いが吹っ飛んだんです。 (※)特定非営利活動法人障害平等研修フォーラムdetforum.org)https://detforum.org/ 前田:どんな内容がそんなにも衝撃的だったのでしょう? 飯島さん:DETの受け止め方は人それぞれだと思います。私の場合は、障害者がいるからいろいろな社会問題があるのではなく、誰もが過ごしやすいと思えないこの社会事態に問題がある。そんなふうに、自分が思っていたこととまったく違う考え方があることに気付いて、障害とはなにか? 障害とはどこにある? 障害のある社会とは?といったことを深く考えることができました。 前田:確かに、地下を開発して階段だらけになった街の構造や、障害者とクラス分けされる教育システム…今の社会は普通であることが当たり前で、それに当てはまらないと障害者という肩書でくくられてしまう。まずは、不自由のある社会構造に目を向けるべきという考えですね。 飯島さん:簡単に言うとそういうことです。 今の社会が障害者をつくっている。 障害のない人が基準になってつくられた今の社会の中では、当然、生きづらく、希望を持って人生を楽しむことができないという人が多くいます。 でも、不自由なことを補う仕組みが整っていれば不便や辛さがなくなり、障害を感じないで暮らすことができます。そうなると「障害者」そのものが存在しなくなりますよね。 そんなふうに社会の基準を変えることで、誰もが暮らしやすいと思える社会づくりができるようになると気づきました。 前田:社会の基準を変えるというのはとても大きな目標だと思いますが、自分が経験した“不自由”をなくすためにはどうしたらいいのか…を考えると、自分ができること、何をしたらいいのかが少し見えてくるような気がします。 飯島さん:そうですよね。研修後はすごく前向きな気持ちになれて、もっとこのDETを深く知って活用し、社会を変えていくための活動を行っていこうという思いが強くなりました。 それで、年1回、DETフォーラムが主催する「ファシリテーター養成講座」を受講し、そこからさらに認定ファシリテーターになって、その後はDET群馬を3人の仲間と立ち上げて、いろんな地でDETを行っています。 前田:飯島さんは、設立当初は事務局長、2018年からは代表を務められているそうですね。 研修を受けてからは目まぐるしいほどスピーティーに活動されていますね。 飯島さん:たしかに、自分がやるべきことがはっきりと見えてきて、気が付いたらこの活動にどっぷりハマっていますね(笑) 障害とは?バリアフリーとは?DET群馬が実施する障害学習研修。 前田:地元群馬を中心にした飯島さんの活動を教えてください。 飯島さん:DET群馬の主な活動は、「障害平等研修(DET)」の実施です。群馬県内だけでなく近隣の県や企業研修などにも対応しています。 前田:DET群馬のホームページには、「障害」を個人モデルではなく「社会モデル」として考えていくワークショップ型の障害学習研修と記載されていて、すごく興味がわきました。 飯島さん:障害当事者が参加者と対話しながら一緒に答えを見つけていく新しいタイプの障害学習研修を行っています。 参加者に、社会モデルとしての考え方と視点を獲得してもらうことで、一人一人が何をすべきかを考え、行動(アクション)することへと結びつけていくための研修スタイルなんです。 前田:企業や中学、高校でも研修を行っているようですが、幅広い層を対象にされていて、飯島さんはじめDET群馬のファシリテーターは講演や研修スキルが高い方ばかりですね。 飯島さん:まったくそんなことはないですよ(笑) 私に関して言えば、実は人見知りですから。人の前に立ってモノを言うなんて、苦手で病気になるまでやったこともなかった。 今でも苦手なほうなんですよ。 前田:飯島さんが人見知り!それは衝撃的な告白(笑) 人と接するのが好きで、無理することなく出会いや繋がりをつくって楽しめる方としか思えませんでした(笑) 飯島さん:よく言われます(笑) 苦手ではあるけれど、研修を行ったり、活動を続けていくにはそんなこと言ってはいられない。 じゃあどうしているか…というと、話好きで人見知りしないもう一人の自分をつくって対応しているんです。分身がいるようなイメージで、人前で話す時は分身に入れ替わる(笑) 前田:それはいい方法ですね。人見知りでもファシリテーターになれる? 飯島さん:もちろん、大丈夫! 私でもどうにか活動していますからね。人前だと緊張してうまく話せない、自信がないという人も、社会を変えていきたいという思いがあったら、それを伝えることをあきらめてほしくないんです。 いいアドバイスになっているのかわからないけれど、気持ちさえあれば苦手でもどうにかできるってことを自分の経験から伝えたいですね。 当事者が社会を変える。地域に根付いたファシリテーターの活動。 前田:「DET群馬」を立ち上げて、自分の住んでいる地域から変えていくというのは、飯島さんにとって自然な流れだったのですか? 地域で活動を根付かせていくほうが、動きを起こしやすいのでしょうか? 飯島さん:そうですね。自分が住む地域には当然、思い入れがあるし、自分にとって身近にある課題でもあるわけなので。 前田:当事者がファシリテーターとして活動の中心になっているんですね。 飯島さん:今の社会に生きづらさ、暮らしにくさを感じている当事者しかわからない苦労や不自由さがあると思います。 それは普通に生活できている人には気づかないことです。 当事者がバリアフリーの推進者になることで、そうした不自由さに気付いてもらうことも大切な一歩だと思っています。 それと、自分も経験者ですが、障害者は就労の困難性が高く、生活のために様々なことをあきらめなければならないという現実があります。 DET群馬では、ファシリテーターという役割を担うことで、活動そのものが仕事として収入に結びついたり、また生きがいになっていく。そんな可能性の広がりにも期待できるようになればいいという思いもあります。 前田:当事者が、不自由なこと、変えるべきことを障害者と縁のなかった人たちと共に考え、少しずつ変化を起こしていく。 それが各地で実現していけば、誰もが望む住みやすい街が実現し、未来に希望を持てるようになるのでしょうね。 飯島さんから、バリアフリーには4つの壁があると教えていただきました。 心理・制度・物理・環境 どの壁もなくさなければと思うと、どこから手を付けていいのか迷い、自分の無力さを感じてモチベーションも下がってしまいそうになります。 そんな時、どうしたらいいのか…。 「自分がやりたくないって思っていることをやる。そうすると、なにかしら動きがでてくるもの」 これも、飯島さんからのアドバイス。 なるほど。やりたくないことが実はやるべきこと…なんですね。 さて、次回は、実際に飯島さんが取り組むDET群馬の活動についてもう少し詳しくお伺いしていきます。 観光地としての地域の活性化にも大きなメリットをもたらしているとても興味深いお話しです。 次の掲載もぜひご一読ください。 飯島邦敏さん Profile 38歳のときに、10万人に一人の神経難病(CIDP)を患い遠位の四肢麻痺となる。2016年にDET研修に参加。同年「DET群馬」を設立し、現在代表を務める。 ・障害平等研修フォーラム認定Aファシリテーター・DETファシリテーター養成講座 チューター・患者会 神経難病ケアネット スリーノース代表・伊勢崎市身体障害者福祉団体連合会 会長・群馬県身体障害者福祉団体連合会 理事・群馬県観光審議会 副会長・特定非営利活動法人 日本福祉教育研究所 副理事・群馬県せきずい損傷者協会 役員・東京ダイバーシティーライオンズクラブ会員・伊勢崎市障害者差別解消支援地域協議会 副会長・伊勢崎市防災会議委員・伊勢崎市人権教育、啓発の推進に関する伊勢崎市基本計画推進協議会委員・伊勢崎市障害者相談員・伊勢崎市障害者計画策定委員・伊勢崎市社会福祉協議会評議員・群馬県特別支援教育推進計画検討委員・福祉用具専門相談員/福祉住環境コーディネーター2級 ●DET群馬 https://detgunma.wixsite.com/gunma ★Unique/Writing Maeda Rie
- 介護に生かしたいお化粧のちから 化粧×介護臨床化粧療法士®河村しおりさん × 土屋訪問介護事業所・綾部清香さん × インタビュー・Unique 前田りえ 介護サービスのプロフェッショナル、土屋訪問介護事業所でブロックマネージャーを務める綾部清香さんと化粧を介して心身のケアを行う臨床化粧療法士の河村しおりさんの対談です。介護の現場で、お化粧のちからは生かせるのか。重度訪問介護のリアルな現状を話の舞台に、介護サービスを提供するヘルパーさん、受け手となるご利用者の双方の立場になってお化粧の生かし方を考えてみました。 前田りえ(以下:前田)「介護とお化粧というテーマでお話伺いながら、介護現場でのお化粧の生かし方を探っていきたいと思っています。一見、関係性が薄いように思いますが、お化粧と介護、その接点や結びつきを感じたご経験などはありますか?」 綾部清香さん(以下:綾部)「今日、河村さんとのお話する機会をいただいたので、あれこれと考えていたら、自分の曾祖母のことを思い出しました。 小さい頃、曾祖母によく面倒をみてもらっていて、わたしはひいお婆ちゃん大好きっ子だったんですが、最近は思い出すこともなくなっていたのですごく懐かしい気持ちになりました。 思い出したのは、お婆ちゃんが通っていたデイサービスでお化粧をしてもらった日のことです。みんなにキレイって言われて、すごく嬉しかったんだと思います。私にも見せたいから、帰ってくるまでお化粧を落とさないで待っててくれて。あの時の、真っ赤な口紅を塗ってうれしそうなお婆ちゃんの顔、久しぶりに思い出しました」 河村しおりさん(以下:河村) 「すごくいい思い出ですね。お化粧すると気分がいきいきして高揚感が生まれて、人によっては代謝が上がって、口腔ケアにもつながっていく。いい効果がいっぱいあります。 キレイになったねーって言われたら、やっぱりうれしくなりますよね」 綾部「そうですよね。いくつになってもキレイでいたいって思うのは当たり前で特別なことじゃない。それは、病気や障がいを持った方でも同じで、お化粧したり身だしなみが整っていると、気分よし!ってなりますよね。 臨床化粧心理士®の資格をとった方は、高齢者や介護が必要な方にもお化粧のアドバイスを行っているんですか?」 河村「2018年から化粧に関する3種類の資格講座を運用していて、認定資格者それぞれが美容に関する分野だけでなく、いろんな場で活躍しています。医療や介護の現場でも資格を生かしてがんばっている人はたくさんいますね。 臨床化粧療法は、お化粧を介した心理療法という考えが核にあるので、メンタルケアにおすすめなんです。お化粧というのはあくまでもきっかけであって、行為に過ぎないんですが、それでもお化粧をすることですごくポジティブになったり、自信が持てるようになったり、心理面ではすごくいい効果が出ると思います」 前田「介護の現場でも、お化粧することを望まれる方はきっと少なくはないと思うのですが、いかがでしょう?実際にお化粧をサポートすることはあるのでしょうか?」 綾部「土屋訪問介護事業所は、重度介護が必要な方への訪問サービスが主なんです。動くことができなくて、自分ではお化粧をすることが難しいご利用者が多くいます。 動けなくてもキレイでいたい、お化粧してもらいたいという方にはその気持ちに応えたいと思うのですが、ご利用者の生活環境やスタッフとの関係性とか、それぞれ状況も違うので、そういうきっかけをつくるのが難しい場合もあるんです」 前田「お化粧って個人差があるから、サポートする側も得意な人もいれば苦手な人もいるはず。そこが一番の課題みたいですね」 河村「お化粧って、いろんな段取りがあって、すべてに意思決定、判断、選択が必要とされる実はすごいハイレベルな行為。だからサポートする人にとってもハードルは高いはずです。 まずはスキンケアからトライしてみたらどうでしょう。肌を守って、清潔感を保つ意味でもスキンケアはとても大切です。正しいやり方をすることで肌の状態がよくなるし、スキンシップという面でも効果的だと思います」 綾部「高齢者の方には、スキンケアサポートから声掛けするのはいいですね。病気や障がいで介護が必要になった方に関しては、自分でやっていた頃と同じように生活することを望まれる方が多いんです。だからスキンケアも毎日、朝夕しっかりやってお肌ツルツル。うらやましいくらい(笑)そんな方に、美容の知識やメイクに自信がないスタッフは積極的にお化粧の話をしにくいんですよね」 河村「病気になっても生活を変えたくない気持ちは、すごくよくわかります。ご利用者の気持ちが一番だと思うから、まずそこを確認するきっかけが作れるとスムーズだと思うけれど…。ヘルパーさんの得意、不得意があることを前提にすると、誰でも声を掛けやすくするような、仕組みがほしいところですね」 綾部「ヘルパーさんとご利用者の相性の問題もあるし、コミュニケーショ不足でうまくいかないというケースもあるので、スタッフに上手なきっかけの作り方を伝えたいな、と思うことが多いです」 河村「ちなみに、美容師法という法律では、美容の免許を持つもの以外は首から上のお化粧を行うことが禁止されているんです。この法律遵守の立場からすると、専門知識がない方がお化粧をしてあげることで、トラブルが発生することもあるんじゃないかと。それが心配ですね」 前田「美容師法という法律で規制されるくらいだから、お化粧にはメリットだけでなくて、気を付けなければいけないリスクもあるってことですよね」 河村「お化粧品が肌に与える問題や髪を染める時の市販のカラーリング剤のトラブルとか、いろいろあるんです。薬を服用されている方も多いだろうし、体力、免疫が下がっている方も少なくはないと思うので、そういう方をケアする最低限の知識は持っていないと心配です」 綾部「美容師法では、そういう縛りがあるんですね。介護の制度では、お化粧はヘルパーの仕事として認められていますね。 居宅介護サービスの中でヘルパー(介護職員)が提供する生活支援業務に、メイクも含まれているんです。身体整容(※1)の一部です。 私たち(介護職員)がお化粧をお手伝いするのは、美しくなってもらうことが目的ではなくて、身だしなみを整えたり、衛生面のケアの一つ、生活の中で必要なケアというとらえ方をしています」 ※1訪問介護サービスや介護保険施設の介護現場で、介護者が提供する生活支援業務に「身体整容」という項目があって、洗顔・歯磨き・整髪・爪切り・耳かき・ひげそり・メイクのサービスが含まれています。 前田「お化粧は身だしなみの一部。そういう介護制度の内容だったり、現場の状況を知らない人が多いのではないでしょうか? もっと多くの人が知ることになれば、ヘルパーさんを多面的にサポートすることができるのかもしれませんね」 綾部「重度訪問介護では、ご利用者の家族のかわりになって生活を支えることが求められるので、サポートする内容はものすごく多いし、幅広いんです。人対人の関係性も重視される仕事だから、そういう面でヘルパーのサポートも必要なんです」 河村「家族のかわりになって…はすごいっ!って思います。そうやって患者さんを支えているのを、知らない人も多いんじゃないでしょうか。社会に必要な素晴らしいお仕事だと思いますよ。 私たち臨床化粧療法士®もそういう介護事情というか、制度のことを知ることで、発展があるというか、お手伝いできることが見つけられるように思います」 綾部「ご利用者の生活の中に入ると、その方のペースで介護が成り立っているケースが多いのですが、河村さんが話されるように、トラブルにつながらないための知識は持っておくべきだと思うんです。ご利用者の要望に応える時も、心配があるときはそのことをちゃんと説明することができれば、信頼関係が保てますよね」 河村「正確な情報を知っておくことは大事だと思います。例えば、化粧をしたら、落とすサポートも考えてあげなくちゃダメですね。体を起こせない方がちゃんとお化粧を落とすにはどうしたらいいのか。ふき取りタイプのクレンジングを使うとか、使ったことのない商品を使うのであれば肌にあうのかどうかをチェックするとか。そういった知識を持っていないと、サポートする人も、される人も不安になるし、トラブルを起こさないための学びは絶対、もっておいたほうがいいですよ」 前田「お化粧はキレイになることでの心理的な効果だけでなく、介護の現場では、コミュニケーションづくりに生かすことができると思いますが、いかがでしょう?」 綾部「ヘルパーがご利用者との信頼関係をつくるのに必要なのは、ご利用者のことを知ることなんです。スキンケアやお化粧の話題からいろんなことを知ることができるかもしれないですね。 それにお化粧やスキンケアのサポートを行うと、肌に触れることになるので、グッと距離感がちぢまる気がします」 河村「コミュニケーションに生かすにもいいですね!スキンケアの話をしましたが、他にはネイルもおすすめですよ。ネイルは、装飾や好みの色でキレイになった手を自分の目で確認できるところがいいんです。鏡で見るのとは違ったリアル感があって、気持ちがあがりますよね」 綾部「アートっぽく仕上げることができなくても、シールとかありますよね。爪がツルツル、艶っぽい光沢感があるだけでも、ちょっといつもとは違う感じがして楽しいかも」 河村「臨床化粧療法士®協会の活動には、高齢者施設に出向き、お化粧体験や指導を行うこともあるのですが、訪問だとそれは難しいですよね。でも、ヘルパーさんやご家族に向けて、お化粧のケア方法を知る機会があったら喜ばれるんじゃないでしょうか」 綾部「今、重度訪問介護の現場は人手不足で、十分な介護を受けられない方もいて、それをなんとかしたいんです。一人でも多くの人が、ヘルパーさんがついて安心して生活していただけるようにするのが課題であって、大きな目標でもあります。 そのためにできるこは何か…を考えると、私は介護現場で働いていた経験から、ヘルパーさんが働きやすい環境を作っていきたいと思っているんです。お化粧にかぎらずですが、ヘルパーが自分では対応しきれないこともたくさんあるので、そういう時に役に立つきっかけやヒントになるようなことを提供していくことが必要と感じています」 河村「綾部さんのお話しを伺って、重度訪問介護についてもっと深く知りたいと思いました。そういうきっかけをいただいてありがたいです。 ヘルパーさんをサポートすることが、患者さんのサポートにもつながっていくのだと思います。 お化粧によるプラスの心理効果をどうやって現場に生かしていくかは、まだ課題がありますね。私たち臨床化粧療法士®が重度訪問介護の現場でどんなサポートができるか。その方法を見つけていきたいとも思います」 前田「綾部さん、河村さん、ありがとうございました!介護の状況をよくするには、質と量の両面が十分に満たされることが必要だと思います。 お二人のお話から、介護に関わる方が質をめざしていける環境づくりへの大切さを改めて感じました。それと、現場を知ることで多くのことに気付かされますね。 こうした領域の異なる異業種の出会いから、新しい支えあいのスタイルが生まれることを期待します」 綾部清香さん ユースタイルラボラトリー㈱土屋訪問介護事業所エリアマネージャー ユースタイルラボラトリー株式会社が運営する土屋訪問介護事業所に2015年入社。現在、千葉県・神奈川県の事業所管理を行うブロックマネージャーを務める。 ★綾部さんのプロフィール詳細はコチラhttps://tsuchiya-houmon.com/4439/ ★土屋訪問介護事業所https://tsuchiya-houmon.com/ 河村しおりさん 一般社団法人日本臨床化粧療法士協会代表理事 20代前半に指定難病(SLE・全身性エリテマトーデス)の診断を受ける。闘病生活を送る中で、“化粧”による対人支援の道を見つけ、臨床化粧療法士®としてスキンケアの考え方を提唱。化粧外来の運営や、医療機関内での美容相談、臨床化粧療法士®の認定・育成に力を注ぐ。 ★河村さんへの講演依頼、臨床軽症療法士®へのセミナー依頼についてはこちらをご参考に。ttps://japanclinical-cta.org/kigyou/★一般社団法人 日本臨床化粧療法士協会https://japanclinical-cta.org/★資格に興味を持った方はコチラを要チェック!https://japanclinical-cta.org/manabu/
- ALSと闘うSHUUさん 心の声2年前にALSと診断されたSHUUさん。彼のことは、ブログで知りました。自分の気持ちを正直に綴ったSHUUさんのブログはすごい人気で、たくさんの読者がいます。毎日更新される日々の小さな出来事は、読んでいるとほっこり癒されるし、病気と闘いながらも優しさを失わないSHUUさんの強さ、溢れんばかりの家族への愛に触れ、温かい気持ちになれます。けれど、すべてがhappy話ばかりではなく、悲しみや悔しさや時には憤りさえ感じてため息が出てしまうことも。一喜一憂、こんなにも心を揺さぶられるブログは初めてです。実際のSHUUさんは、どんな方だろう。望む未来、見えない苦しみ、伝えたい思い、知ってもらいたいこと、気づいてほしいこと…もっと、もっとたくさん心の声があるんじゃないのかな。 SHUUさん、きかせてください。今、あなたが伝えたいことは、何ですか? interview 「今、たくさんの人からエネルギーをもらって生きています。ALSになっても人と繋がれる。生きていくには、孤独になっちゃダメなんです」 「ブログを始めたのは、自分がどうやってALSと向き合って、どんな思いで生きたかを息子に残しておきたかったから。それと、ALSに罹患した人の参考だったり、生きる活力になれば…という思いもあったので。でも、今では自分が生きていくための活力になっています。一言で言うと、ブログは心のジム!ALSに身体の筋肉は取られてしまいますが、心の筋肉は取られません。ブログの読者からのコメント一つひとつが、心の筋トレになっています。 体が不自由になり、外出が難しくなったり、コミュニケーションがとりにくくなったり、できないことがどんどん増えていますが、それでも、人って繋がっていくことができるんです。人との繋がりがいかに大切で、生きていくのに必要だということを、今、切実に感じています。 もし、病気や障がいがあって孤独を感じている人がいたら、あきらめないで、少しづつでも自分から動いてみると変わることがたくさんあるんじゃないかなと伝えたい。わたしも、ブログなどで自分自身について発信したり、催しや集まりに参加することで、たくさんの人と新しい繋がりができました。今までやったことのない活動にも参加したり、健常者の頃より忙しいかも(笑)ずっとふさぎこんだままで、自分の殻に閉じ籠っていたら、今きっとこの世にはいないと思う。なので、リアルでもSNSでもいいから、まず自分から動いてみる。これは、とても大切なことだと思います」 誰だって震えるほど寂しい時がある。死ぬほど辛くなるときもある。そんなとき、SHUUさんの言葉を思い出してほしいと思います。 「自分から動いてみようよ」 辛くても、苦しくても、それでも動いてみよう。きっと、何かが変わるはず。そう信じてね。 ★SHUUさんのブログ https://ameblo.jp/als-toubyou-kiroku 「多くの人が気づいてほしい、知ってもらいたい『地域格差』。誰もが同じ介護環境で生活できる世の中になってもらいたい」 SHUUさんは現在、長野県にお住まいです。この地で生まれ育ち、ご自身で美容院を経営されているそうです。 「他の場所に住んだことない、生粋の地元民です。自分の故郷であるこの地をとても大切に思っていますが、病気になり、いざ24時間介護が必要という状況になってみると、介護支援サービスが遅れていて大変なことばかり!地域格差を強く感じています。現在、長野市で重度訪問介護を受けている人は、自分をいれて2人しかいないようです。事業所は1つもなく、この制度が十分浸透していない事実、それによる生活維持の不便さは生死に関わる問題だと思います。 ちなみに、同居家族がありながら、わたしのように24時間の介護、月744時間を獲得できたのは、なんと市内初なんです!前例がない、初めてのことだから、申請を出すのも大変でしたが、支援してくれる方々がチームになって頑張ってくれたおかげで、どうにか希望が叶いました。自分という事例ができたので、今後に繋がっていってほしいと心の底から思っています。」 『地域格差』という言葉が何度も頭を打ち付けます。難病になると、病気だけでなく闘う対象が本当にたくさんあって、へこみます…。SHUUさんが月744時間を獲得したとしても、肝心のヘルパーさんがいなくては、生活が成り立たない。重度訪問護事業所がないため、ヘルパーさんを自分たちで探すことになり、現在も募集中とのこと。自薦ヘルパーさんを雇用することになるので、それもひと苦労の様子。ブログを読んでいても、SHUUさんの日常にいかにヘルパーさんの存在が必要不可欠であるかがわかります。いなくてはならない存在がいないという現状。でも、それはSHUUさんだけの問題ではなく、重度訪問介護を必要とする多くの人が直面する悩みの種でもあるのです。 「家族のことを思うと、24時間介護体制を整えて、少しでも負担を軽減させたい。自分のためというよりも、寝る時間がほとんどなくて、ずっと頑張り続けている奥さんが辛すぎるし、それを知って何もできない自分も辛いです…」 SHUUさんの伝えたい思い。声に出すことができなくても、どんなに強く、切実な思いかが心に響いてきます。この思いを受け止める人がもっと、もっと増えて、拡がって、大きな力になってほしい。誰もが、同じように支援を受けながら生活できる環境が必要です。わたしも、声あげて伝えていきたい。それは生きる選択につながっていくことだから。 「生涯、美容師でいたい!これからも、夢を追いかけて、心の声を思いっきり伝えていきたい」 「生涯美容師の夢が、現役としては志半ばで終わってしまいました。でも、自宅でサロンをやっているので、現役ではないけど、持ってる知識を受け継いでいくことはできます。だから、生涯美容師でいたいという思いは、今も変わりません。治療薬ができて病気が治り、美容師になると言っている息子(今のところは…笑)と一緒にサロンに立てる日が来ること。これが、一番の夢!叶ったら最高!!」 SHUUさんがALSになってから、一番といっていいほど激しく落ち込んだのは、もう自分はカットが出来ないと悟った時。ALSに診断されたり、気管支切開の時よりもショックだったそうです。どれだけ、美容師という仕事にほれ込んでいたか…。 「病院に2週間入院してサロンに戻った初日に、お客様のカットに入ったら腕が全然上がらず…。もう、カットが出来ないんだ。美容師終わりじゃん。人生も終わりだ…と思いました。まだ確定してから1ヶ月弱くらいしか経っていなくて、あまりにも早すぎる進行に、どうしようもないくらい絶望的になって…。夫婦で大泣き。その日はちょうど送り盆で、同じALSで亡くなっている父が空に帰る日だったんです。一緒に連れてって…って。これ、ブログにも書いたな」 今、自宅の2階をサロンにして、奥さんのあっちゃんとスタッフさんがお客様を迎えているそうです。あっちゃん、サロンのこともバリバリこなしてすごい。一人でがんばりすぎてない?大丈夫かな…。 「全部一人でなんて、やり切れてないですよ。いつも、SHUUさんに相談しながらすすめているんです。アドバイスしてもらうというか、指示をもらいながら。美容師としてSHUUさんは技術も経験も教わるところばかり。SHUUさんがいるから、やっぱり心強いです」とあっちゃんが明るく返してくれました。あっちゃんはSHUUさんと一緒に、大切なものを一生懸命守っているんですね。 最近、ご自身の経験をいかして、障がいのある方や病気の方でも気軽に、気楽に利用できる美容サロンになるという、新たな目標もできたそうです。 「自分が当事者になって気づいたんですが、体を自由に動せなくてもおしゃれしていたい。キレイにしていたい。そういう思いはあるけれど、迷惑かけるとか、気を使うから疲れるとか、もう自分なんてとか、あきらめちゃっている人が多いと思うんです。気軽に行ける美容院があって、キレイになれたら気持ちも上がるし、楽しみが増える。外出が難しい人が、外に出ることにワクワクする、そんな気持ちになるようなサロンにしたいと考えています」 ■SHUUさんの自宅2階、美容サロン「SOUP HAIR FACTORY(スープ ヘア ファクトリー)」カット、ヘアカラー、パーマなどご要望を事前に伝え、予約を入れて来店ください。※駐車場有 ※エレベーター有(広さに制限があります) ※車いすのままでの対応可問い合わせ:026-217-7628 最後に。あっちゃんへ…。 SHUUさんの奥さんであるあっちゃん。全身全霊でSHUUさんを支えています。妻であり、母親であり、サロンの仕事もこなす毎日は、きっと私が想像する何倍もハードなはず。それでも、悲壮感など微塵も感じさせないあっちゃんの明るさには、人を元気にする力がぎっしり!とても、強くて、優しくて、魅力的な人です。 「進行が早く、確定2ヶ月でマスク式呼吸器を使い始め、3ヶ月で車いすになって24時間マスク式呼吸器を使う生活になり、8ヶ月で気管切開と胃ろう。早すぎて、行政も何も追い付かず、妻は24時間全介助をしながら大量の書類や申請をこなし、毎日ほとんど寝る間もない日が続いて…。気管切開をしないと生きられない、そんな生きる選択をせまられた時、それでも一緒にいてほしいと言ってくれて…。妻は病気になった自分と共に生きる選択をしてくれました。感謝なんて言葉では言い表せない。気弱になって、悲観的なことを言っても、いつもわたしに最善な方法を考えてくれる。本当に心から思ってる、ありがとうって…。妻と出会えたことが人生最大の幸せです」 SHUUさんの思い、あっちゃんにしっかり伝わっていますよね。 読んでいただいた方にSHUUさんからのメッセージです。 「普通だったり、当たり前にできることが、どれだけ大切かを感じて、後悔しない生き方をしてほしい。それが自分の経験から伝えられることです」 後悔しないように、わたしは、まず大切な家族、支えてくれている人に、ちゃんと気持ちを伝えようと思いました。心の声を一言、一言、丁寧に聞かせていただき、わたしなりの言葉で伝えさせていただいたことに、SHUUさんとあっちゃんに心から感謝します。 ※このインタビューは2020年11月にnote「NOW・いま」に掲載した記事を年数等のみ更新して「Unique」で掲載しています。 Unique/Writing Maeda Rie