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患者と医師をつなぐ受診サポート活動を全国に!

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患者と医師をつなぐ受診サポート活動を全国に!

医師とのコミュニケーションに困っている人を支えたい。地域ケアパートナー「ほっと」のあったかい思いを届けます。

病気を抱える人の多くは、病院への通院、受診に対してさまざまな負担や不安を抱えています。
「一人で行くのが心細い」「先生の言っていることがよくわからない」「気持ちが追い付かずに主治医とコミュニケーションがとれない」「先生に聞きたいことが口から出ない」――


そんな思いを抱く人を支えるために、2009年から“受診サポート”活動を行っているのが、市民活動団体の「ほっと」です。

  「ほっと」は、受診サポートだけでなく、サポーターの育成も活動の一つとして行っています。地元である千葉県からこの受診サポーターという支援を全国に広げていきたいと語る、代表の藤井さん、副代表の谷野(たにの)さんにお話しを伺いました。

 

INTERVIEW

“隙間をつなぐ”という発想から生まれた「ほっと」の活動

―藤井さんは看護師として病院や訪問看護の仕事に就いていたんですよね。その経験が「ほっと」を立ち上げたことに結び付いているのでしょうか?

藤井さん:そうですね。看護師の仕事を続けるうちに、段々と「ここまでしかできない、これ以上をやってはいけない」という一線があることにもどかしさを感じるようになりました。
実際は「ここまで・・・」から先もサポートが必要だと思うのに、医療制度と介護制度にはいろいろな制約があって手を出したいのに出せない。今よりももっとできることがあるはずだという思いが強くなって、それが「ほっと」の立ち上げに繋がっていったのだと思います。


―藤井さんの講演を聞いて、受診サポーターのことを知った時、患者にとって必要な活動だと思いました。 さらにサポーターを育成し、このノウハウを伝授して全国に広めていくといった大きな目標に向かっているそうですね。そんなお話を伺うとワクワクします!

藤井さん:介護制度を利用することで助かることもたくさんあると思うのですが、それだけでは十分とは言えません。制度ではカバーできない、満たされないことがある。生活の中にある制度との“隙間”に困っている人がたくさんいるのが現実です。

その隙間を埋めないと、患者さんやご家族が困ったままになってしまう・・。そこを補う存在になりたいと思って活動しています。

あったかい笑顔の藤井さん。ご自身も癌闘病経験があり、患者と支援者の両方の視点でサポートを行っているとのこと。

「受診サポーター」の仕組みは? サポーターになるには?

-「受診サポーター」はどのようなサポートを行っているのですか?

藤井さん:患者さんの病院受診に付き添って医師の話を一緒に聞き、患者さん自身が医師に話したいことをサポートします。患者さんの普段の生活の様子を医師に伝えることも行っています。
診察を終えた後は、その内容を「連携ノート」にまとめ、ケアマネジャーさんやご家族に正確に伝える。それが受診サポーターの役割りです。

 

-“通訳”のようなイメージですね。

藤井さん:役割りとしては通訳に近いかも。

医師の話をかみ砕いて患者さんに伝え、患者さんの思いを医師に伝えるのですが、その際、勝手に自分の知識や意見を言うことはしません。医師から聞いた必要な情報を丁寧に記録してつなぐことが役割りなので。

せっかく病院に来ても、先生の説明を理解できないまま帰ってしまう方もいます。付き添った家族も同じで、聞きたいことがすぐに出てこないから、分からないまま治療を続けていて不安になっている方もたくさんいます。
診察という医師との貴重なつながりの場に寄り添える人がいることで、不安がなくなり、治療に対しても積極的になれる人が増えてほしいです。

 

-医療関係者しかサポーターになれないのですか?

谷野さん:医療の専門知識や経験がない人でも受診サポーターになれます。看護師でもなく、介護の仕事に就いたことのない私でもやれているので大丈夫。 サポーターになるための研修を受講し、「ほっと」にサポーター登録をしていただくと、活動に参加してもらうことができます。


-登録制なんですね。サポーターは無償ボランティアですか?

谷野さん:いえいえ、完全無報酬では続けていくことができないので、患者さんからは1時間2,000円で30分ごとに500円いただきます。サポーターには活動費と交通費は全額支給という条件で活動に参加してもらっています。

依頼があった時に条件に合うサポーターに声掛けをして契約を交わし、ケアマネジャーさんやご家族、ご本人から体調や薬についてなど事前に情報を提供していただき、体制を整えて受診日に同行してもらっています。 

思いを共有、共感できる人と一緒に。

-介護や障害福祉の分野で助成があれば利用しやすくなると思いますが、現在は自費による支援ということですね。 お金を払っても受診に同行してほしいという希望が後を絶たないということは、それだけ困っている人が多いということなんでしょうね。

藤井さん:そうなんです。ケアマネジャーさんをとおして依頼していただくことがほとんどですが、年々増えています。今はサポーターの手配が追い付かなくて、依頼を受けられないぐらいなんです。

なので、サポーターになりたい方を募集しています!

 

-5日間の研修に参加することでサポーターになれるそうですが、参加される方の条件があれば教えてください。

谷野さん:条件としては、介護経験のある人、傾聴講習を受けた人、意欲的に活動していただける人です。そして、一番大切にしているのが、私たちの思いに共感してくれることです。 この思いが一緒でないと、続けていくことができないと思うからです。

副代表の谷野さん(右)と相談し、「心をあたためる」「ほっとできる」という意味を込めて団体名を「ほっと」に。

“つなげる”支援。医療と患者の橋渡しを。

-これまでたくさんの方を支援されてきたと思いますが、どんな患者さんからの依頼が多いのですか?

藤井さん:独居の高齢者が多いですね。認知症の方も。パーキンソン病で不随運動があり、タイミングよく先生と会話ができないという患者さんもいます。
また、普段、先生の話を普通に聞ける人でも、新しい治療法や不安があるときに依頼される方もいます。


-記憶は意外とあいまいなものなので、ノートに正確に記録されていると安心ですね。家族やケアマネジャーさんも先生の説明や薬の指示などが分かると助かると思います。 受診の際の医師の反応はどんな感じなのでしょう?

谷野さん:医師には、その場で受診サポーターとして同行していることを説明します。

最初は「なにそれ?」って顔をする先生もいますが、大体すぐに患者さんのためになるということを理解して、受け入れてくださっています。先生も、病状や治療について患者さんに理解してもらいたい、ご家族にも伝わってほしいと思っているんですよね。

私たちは、患者さんと医療者にある“溝”をつないで、“橋渡し”をする気持ちでいるので、患者さんだけでなく、医師にとっても役に立つ存在になりたいと思っています。

全国各地に受診サポート活動を!“ほっとの思い”に共感してくれる人を待っています!

-全国展開を目指す!というのは「ほっと」の支店が全国にできるような感じでしょうか?

藤井さん:「全国展開」は話が大きすぎ(笑)

「ほっと」の思いに共感していただいた方が、自分の住む地域で同じように受診サポート活動を行ってもらいたい。そのためのサポートをしたいと思っているだけなんですよ。


-「ほっと」の活動という縛りがなく広がってほしいということですか?

藤井さん:例えば、訪問介護の事業所、介護タクシーをやっている会社の自費サービスの一つとして受診サポートを導入してもらえれば、いろんな地域で受診サポートを受けられる人が増えていくと思います。

患者負担はできるだけ押さえるようにしてもらい、受診サポートという支援が広がっていくことが望みです。

 

-サポーター養成講座を受けてもらい、そこから先は地域にふさわしい支援活動のやり方で受診サポートが根付いてほしいということなんでね。

藤井さん:介護が必要な人の支えになるのは、制度だけでなく、支えようという人の“思い”です。
だから、思いを共有できる仲間を増やして、全国にこの受診サポーターという活動を広げていきたいと思っています。「ほっと」の活動の原点である『いつも傍にいる私たちでありたい…あなたに笑顔でいてほしいから』という思いが伝わり、笑顔になる人が一人でも増えてくれたらうれしいです。

活動の様子を伝える「ほっと通信」。年1回協賛会員や協力者に配布されています。

 

これから、もっと受診サポートのように、介護や医療の制度と患者の実際の生活の隙間を埋める活動が広がっていくことを願います。

インタビューをとおして、全国に広がる草の根運動のような活動が、支えを必要とする人だけでなく、支援する側の助けにもなることを改めて感じることができました。


受診サポーター募集中

「地域ケアパートナー ほっと」
◎活動拠点:千葉市
◎主な活動:傾聴・受診サポート・見守り・外出介助・情報通信の発行・受診サポーターの養成
◎スタッフ数:約23名(うち受診サポーター12名) ◎受診サポーター養成講座
・座学:3日間/10:00~16:00 ・病院実習:1日 ・最終日:修了式/午前で終了
 模擬実習では、患者役・医師役・サポーター役を体験。  これまでに50名が修了し、現在は12名ほどが活動中。  講座受講費:15,000円(会場は千葉県内・他県は応相談)  ※受講申し込み者が5名以上になった時に実施。
‎◎問い合わせ 
※「ほっと」の活動を応援する賛同会員も募集しています。(年会費:1,000円)
 TEL:090-8744-0971 
 mail:hotto0971@yahoo.co.jp