5/29(日)に行われた報告、患者と支援者をつなぐスピーチ会第2部のイベントレポートです。
「ライフスタイルにあった車いす選び」をテーマに、異なったフィールドで活躍される3名の対談。
さらに、介護保険適用となった車いすメーカー・ペルモビール社の製品アクトモアM1の詳細をご報告します。
参加された方から事前にいただいた質問への回答を中心に、問い合わせ先などの情報も掲載しています。
第2部/対談
「ライフスタイルにあった車いすを選ぶ」
【Profile】

鈴木諭-Suuzki Satoshi
ALSの診断を受けて3年半。現在、ALS協会栃木県支部で副支部長、「障がい者 高齢者福祉イノベーション リビングラボ」アドバイザー。難病、障がい者支援活動のファシリテーター。
現在、介護保険を使いアクトモアM1を利用中。
★障がい者 高齢者福祉イノベーション リビングラボ
https://www.facebook.com/groups/1017748789160944/

杉山葵-Aoi Sugiyama
バリアフリーマップを全国、全世界に広げる活動を行う一般社団法人WheeLogに所属。団体活動の推進に力を注ぐ理学療法士。
★WheeLog:WheeLoghttps://wheelog.com/hp/!

流俊介-Nagare Syunsuke
スウェーデンに本社を置く車いすメーカー・ペルモビール株式会社にて、安心、快適で外出したくなる電動車いすやパワーアシスト、クッションを広める活動を推進。
★ペルモビール株式会社
https://permobilkk.jp/
【スピーチ】
※簡略してお伝えします。
ライフスタイルにあわせた車いす選びのポイント。
利用者の身体や体格、体力に合ったものを選ぶ。
環境・利用状況にふさわしいものを選ぶ。
さらに大切なことは…。
利用者自身が望む生活スタイルにそったものを選ぶ。
それでは、
利用者の生活を豊かにするような車いす選びって
どういうものなんだろう?
利用者だけでなく関わる方もご一緒に考えていきましょう!
Q.初めて車いすを選ぶときは誰に相談して、どうやって選んだらいいのでしょう?
A.鈴木さん
私の場合は、進行性の病気を患っているので、徐々に長く歩くことが難しくなってきていると感じたあたりで、車いすを利用することを考えるようになりました。
まだ、杖をついて歩けていたんですが、外出したときにトイレに行くのに時間がかかってしまい、これでは安心して出かけられないと思ったことが、車いすを借りるきっかけになりました。
車いすのことを最初に相談したのは妻です。
家族の生活にも影響するので、やはり家族と話しあい、理解してもらうことも必要だと思います。
妻と話をして、介助する人の負担をかけないように、折りたたみができて軽量なタイプを選ぶことにしました。
Q.車いすを乗り換えるポイントは?※介護保険を利用
A.鈴木さん ※3回乗り換え

体の状態にあわせて乗り換えることで、生活スタイルを維持できるようにしています。
1番目・杖を使い歩くこともできたので、折りたたみのできる軽量の電動車いすを購入。
2番目・車いすに乗っている時間が長くなり、安定性を求めてwillに。
3番目・体幹が弱くなった、長時間乗っていても疲れないようにアクトモアM1に。
Q.レンタルまでの手続き方法がわからない。周囲にきいても意外と知っている人がいないので教えてもらいたい。
A.流さん
介護保険を利用する場合は、介護認定を受けていることが前提条件になります。電動車いすの場合は要介護2以上の方が原則対象となっています。
この制度を利用して車いすをレンタルする場合、まずは、居宅支援介護事業者(ケアマネージャー)に相談し、ケアマネージャーがケアプランを作成、そしてケアプランにそって車いすを取り扱う事業所と契約を結ぶというのが基本のながれとなります。
Q.はじめて車いすを選ぶとき、気を付けなければならないことは?
A.杉山さん
たくさんの種類の中から選ぶことになるので迷う人がほとんどです。そんな時、「最適解」を目指すのではなく、「間違えないこと」が大切です。
では「間違えない」ポイントとは…

①座位保持分類/利用者の座る能力にあったものを選ぶ
②「①」によりクッションや車いすを選別 ※車いすとクッションはセットで考えるほうがよい
Q.こんなふうに暮らしていきたい、といった生活スタイルへの希望は車いすを選ぶときに必要ですか?
A.鈴木さん
自分がどんな生活を送りたいか、これはすごく大切です。
もともと外出するのが好きで、車いす生活になってもできる限り外にでていくことを楽しみたいし、それをあきらめたくないという思いがありました。
だから、長時間外にいても体がラクでいられることを意識した車いす選びをしています。
Q.車いすユーザーにとって、外出時に利点となる機能は?
A.流さん ※参考事例:アクトモアM1、紹介記事にて映像による確認ができます。
ご利用者の声に応えて、不自由な点を軽減させています。
①路面からの振動(ガタガタした路面や段差があるなど平淡な状態でない道の走行)を軽減したい。→サスペンションと車輪が独立して動くことで振動を吸収。
②下り坂の角度により、下りる時は前のめりになって怖い。→電動ティルト
③安定性や長時間乗っていると辛くなる→背中(バックサポート機能)、頭(ヘッドサポート機能)、おしりのズレを防ぐ工夫とクッションの性能をあげる。
④狭い場所で動きずらい。→幅60㎝ほど。周囲50㎝ほどで小回りが可能。
Q.利用者さんが電動車いすでの外出時に、介助者として同行する際、気をつけなければならない点を教えてください。
(介護職の方からの質問)
A.杉山さん
気をつける3つの点。
「対象面」→周囲の様子を気にするあまり、利用者の体調変化に気付かないことも。体温調節ができない人が多いので注意が必要。気づくには利用者の表情をチェックすることが大切。
「移動面」→利用者が操作をどのくらいできるのかを知っておくことで先回りができる。バック、方向転換に注意し、後ろを見にくい人には「自転車が来る」など、後ろの状況を教えるように気を配る。
下り坂を避けるなど、通る道をあらかじめきめておくほうがトラブル回避につなげることができる。
「コミュニケーション」→利用者の身になって考えることが大切。それには、生活習慣などや好みなど、利用者のことを知るために、コミュニケーションをしっかりとっておくこと。
Q.寝ている時間が多かった利用者さんが、車いすに乗る時間を増やすことを目標にリハビリを続けていますが、調子が悪かったりすると落ち込むことも多くあります。そんな時、どうやって励ましたり、声掛けをしたらよいのでしょう?(介護職の方からの質問)
A.鈴木さん
言葉で伝えるのってなかなか難しいですよね。
例えば、励ます言葉に迷うなら「外の景色でも見に行きませんか?」と誘ってみるのはどうでしょう。外に行くのが難しいようなら窓を開けて外を眺めたり、映像で気持ちのいい風景を見たり。
見ているものや自分のいる空間が明るくて気持ちがいいと、心も晴れてくる。落ち込んだ気持ちをリセットできるきっかけになるかもしれません。
介護保険適用「アクトモアM1」について
■アクトモアM1について
スウェーデンの車いすメーカーであるペルモビール株式会社と福祉用具を取り扱う株式会社フロンティアの共同開発製品。
介護保険適用。5,000単位/月でのレンタル利用が可能。
(例)要介護2の場合は、自己負担1割・5,000円/月
★紹介動画:株式会社フロンティア(5分強)
https://www.frontier-ph.com/main.cgi?c=2/1/1/2/7:8
■アクトモアM1の取り扱いについて
アクトモアM1は、株式会社フロンティアの取り扱い製品となります。そのため、ケアマネージャーに相談後、アクトモアM1が利用可能なケアプランになった場合、フロンティアとの契約によりレンタルが実現します。
フロンティアは全国展開していますが、最寄りに事業所がない場合もあります。下記の事業所一覧から一番近い事業所に連絡し、相談してみてください。
・株式会社フロンティアHP
・アクトモアM1・取扱い営業所
https://www.frontier-ph.com/main.cgi?c=5/3
■アクトモアM1の特徴
電動ティルト/衝撃吸収に優れた車体構造
しなやかな段差の乗り換え/小回り、回転のしやすさ
ヘッドサポートの細かい調整が可能
■その他質問 ※流さん回答
Q.介護保険適用は、アクトモアM1だけですか? それ以外の車いすの予定は?
A.現在、検討中です。できるかぎり利用者様の声に応えていきたいと思っています。
Q.呼吸器を使用していますが、アクトモアM1には呼吸器をのせることができますか?
A.現時点では、アクトモアM1には専用の台座のご用意はありません。今後は対応できるように進めていく計画です。
Q.ジョイスティックの操作がうまくできるか不安です。
A.状態にもよりますが、オプションでジョイスティックのタイプを変更することができます。自分のやりやすさや手の動かしにくさにあわせて変えることも可能なので、お試しになってみてください。
