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バリアフリーを地方の活性化の起爆剤に! DET群馬 代表 飯島邦敏さん/2

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バリアフリーを地方の活性化の起爆剤に! DET群馬 代表 飯島邦敏さん/2

 

interview-2

障害とは?その答えを見つけて社会を変えよう!

DET (Disability Equality Training・障害平等研修)群馬代表の飯島邦敏さんのインタビュー後編になりますが、Unique主催で実際に飯島さんに研修を行っていただくことができたので、DETについてもご紹介したいと思います。


DET(障
害平等研修)はどんな研修?

障害とは?を考える

①自分が思う「障害」を言葉にする。

まずは用意した一枚の紙に、

「皆さんに質問します。……に思い当たる言葉を書き入れてください」

障害とは………である。

障害って何だろう?改めて聞かれると、考えてしまうものですね。


②障害者の目線に立って障害を見つける

一枚の絵を見て、そこから障害はどこにあるかを見つけていきます。

視点を障害のある方に向けて考える。自分の目線では見つからないということがリアルに実感できました。


③疑似体験から障害に気付く

障害者が社会の中で不便だったり、理解されない現状を描いた映像を観て、そこから障害とは?の答えを見つけていきます。

障害者自身に自分を重ね合わせると、理不尽なことや辛さを身に染みて感じます。気づきの多い、体験でした。

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ここまでの内容で、「障害」について、様々な視点で考える、知る、気付くことができました。

そこで、もう一度。

「障害とはなんですか?」

最初の問いに対する答えが変わっているかもしれません。


障害をなくすためにやるべきことは?

障害って何だろう。その答えが自分なりに見えてきたら、今度は次のステップへ。
グループディスカッションで意見を言い合い、自分ができること、障害をなくしたいと思うこと、障害をなくすための行動を自ら考えていきます。

DETは確かに学びの多い研修であるけれど、教えてもらう、受講するというだけでなく、自分自身の考えをよりクリアにし、自主性を引き出すことができるのが魅力。

さらに自分以外の人の捉え方や取り組もうとしていること等を知り、視野を広げ、刺激を得ることもできました。

※DETの障りを紹介しましたが、来年、再度Unique主催で研修を実施する予定です。興味のある方はUniqueまでご連絡ください。
研修希望➡unique11.world@gmail.com


DETをきっかけに、バリアフリーを推進した町おこしに発展!群馬県の取り組み

 

行政、教育の分野からDETを展開

前田:高齢化社会の今、若い人が減ってしまい、日本中がエネルギー不足ですよね。とくに地方は深刻。
飯島さんが活動の拠点にする群馬では、地域の活性化にもDET(障害平等研修)が関わっているのでしょうか?


飯島さん:関わることが増えてきていますね。
私がDETのファシリテーターになった時、まずは自分の住む町から障害をなくしていこう!と、群馬県内で積極的に働きかけを行ってきたので、その影響が少しずつ出ているのをうれしく思います。


前田:年間どのくらい、県内で講演やセミナー、研修を行っているのですか?


飯島さん:大体、年間50回ほど研修(DET)を実施しています。小学校から大学まで、学生に向けた研修にも力を入れているんです。


前田:小学生に向けた研修も行っているんですね!
子どもの教育の中に“障害”について考えるというテーマが加わることで、これから先の社会が大きく変わりそうな気がします。
こうした地域の中に根付いた活動をするには、行政との連携が必要ですよね。


飯島さん:そうですね。群馬では、知事や多くの県庁職員がDETを受けてくれています。これは、全国でも群馬県だけなんです。他にも、教職員、自治体職員、県議会議員が研修に参加してくれているので、連携して行動を起こしやすくなってきました。


バリアフリーマップをつくり、障がい者に配慮した観光地づくり。

前田:社会がインクルーシブ(多様性を認め合う社会)に向かう中で、バリアフリーが主である町おこしを実現される群馬県は、時代の流れを先取りしていると言えますね。


飯島さん:たしかに、この何年かでバリアフリーや多様性が社会の主流になってきている傾向はありますね。でも、自分たちの活動はインパクトがあったり話題性に富んでいるわけでもなく、むしろ地道ですよ。

小さなことから少しずつ変えていく。それが大切で、そのほうがしっかりと根付いて継続していくのだと思います。


前田:そのきっかけをつくっているのが、DETですね。

研修を受けることで、障害に対して共通した理解と認識ができるので、皆で進む方向行が見えてきますね。そうなると行動に移しやすくなるし、動くスピードも速くなる。いい傾向ですね。
群馬県ではバリアフリーの推進に対し、実際にどんな変化が起こっているのでしょう?


飯島さん:いろいろありますが、一例を挙げると、夏に行われるお祭り会場に、車いすの人が利用できる簡易トイレを初設置した地域があります。車いすユーザーにとって専用トイレの有無はとても重要です。こうした事例がどんどん増えていくことで、不自由がなくなってきますよね。

それと、温泉地がバリアフリー化に取り組んでいます。


前田:伊香保温泉のことですね。
石段街で有名な昔ながらの情緒ある温泉地がどうやったらバリアフリーになるのでしょう?石段をなくす?


飯島さん:それはいくらなんでも無理ですね(笑)
障害のある方に安心して訪れてもらえるように、車いすで観光スポットを巡ることのできるルート紹介をしたバリアフリーマップを作ったんです。

伊香保温泉のある渋川市が主体になり計画を進めたので、伊香保の旅館や宿泊施設もバリアフリーに対し積極的に動き始めています。車いす対応に改装したり、障がい者用の部屋を設けたり、手話や盲導犬の受け入れなど障がいのある人でもゆっくり温泉を楽しめる町を目指しているんです。


前田:小さな変化を積み重ねていくことで、大きく町が変わっていく。それを実践する伊香保温泉の取り組みはとても参考になります!


飯島さん:地方がそれぞれのいいところを生かしながら、障害をなくしていくようにすれば、誰もが居心地がいいと思える社会に近づいていくように思います。

そして、それを継続することが大事。これで完了、ここまでで終了ではなく、これからもずっと意識を持って変化をもたらしていくことが必要なんです。


前田:飯島さん、ありがとうございました!Unique主催で行う次回の研修でも、飯島さんの熱のこもった講義を楽しみにしていますね。

引き続き、よろしくお願いします。

バリアフリーマップは渋川市観光情報サイトから入手可能。マップデータをダウンロードできる他、郵送にも対応可。

パンフレット | 渋川市観光情報 (shibukawa.lg.jp)


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飯島邦敏さん Profile

38歳のときに、10万人に一人の神経難病(CIDP)を患い遠位の四肢麻痺となる。2016年にDET研修に参加。同年「DET群馬」を設立し、現在代表を務める。

・障害平等研修フォーラム認定Aファシリテーター
・DETファシリテーター養成講座 チューター
・患者会 神経難病ケアネット スリーノース代表
・伊勢崎市身体障害者福祉団体連合会 会長
​・群馬県身体障害者福祉団体連合会 理事
・特定非営利活動法人 日本福祉教育研究所 副理事
・群馬県せきずい損傷者協会 役員
​・東京ダイバーシティーライオンズクラブ会員​
・伊勢崎市障害者差別解消支援地域協議会 副会長
・伊勢崎市防災会議委員
・伊勢崎市人権教育、啓発の推進に関する伊勢崎市基本計画推進協議会委員
・伊勢崎市障害者相談員
・伊勢崎市障害者計画策定委員
​・伊勢崎市社会福祉協議会評議員
​・群馬県特別支援教育推進計画検討委員
・福祉用具専門相談員/​福祉住環境コーディネーター2級


●DET群馬

https://detgunma.wixsite.com/gunma

 

★Unique/Writing Maeda Rie